猫拾いました。【ybin】 (ページ21)

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#21 ページ21

hk side

薮が電話で席を外した
けいと2人きりになるのは久しぶりだ
ただ無言で鍋をつつく
先に口を開いたのはけいだった

『ねぇ光、』
光｢ん？｣
『慧さん、知ってる？』

慧、
あまりにも唐突に名前が出された
…何かあったのか、

光｢知ってるよ、｣
『教えてくれない？慧さんについて』

期待と追及の目を向けるけい
目を合わせられず視線を落とした

光｢薮からどこまで聞いてる？｣
『…大切な人、としか知らない』
光｢そっか、｣

ベランダで話し込んでいる薮を見る
薮は薮で、苦労してるんだな…

光｢俺からは教えない｣
『なんでよ』
光｢本人の口から聞くのが1番いい｣
『慧さん？』
光｢そっちじゃなくて、薮｣
『薮から？なんで』
光｢薮が言わないってことは隠したいってことだから｣
『…てことはなんか薮隠してるんだ、俺に』
光｢けいだって隠してるでしょ？それと一緒｣
『まぁそうだけど』

少し不貞腐れた顔のけい
仕方なく俺は口を開いた

光｢一つだけけいに教えてあげる｣
『なに？』
光｢慧は、俺にとっても大切な仲間だった｣
『…そっか、』
光｢俺ら3人、中学からの同級生だったんだよ｣
『へぇ…！』
光｢ふふ、今日はここまで｣
『ぶぅ…』
光｢この話も内緒ね？｣

ほっぺを膨らませ明らかに不機嫌な顔をするけい
すぐに薮が帰ってきてけいの隣に座った
こちらも不機嫌そうな顔

『薮おかえり、どうしたの？』
「…けい、」
『ん？』