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「次の任務が、お前の最後の仕事だ」





僕はずっと国に仕えてきた。国を守るために過酷な経験もしてきた。けれど、恐らくこの瞬間が僕の中で最も辛い経験になるだろう。





『小野寺が組織と繋がっていた』




今は無き黒ずくめの組織。だがその事実は迷いなき有罪に値する。

この事実を知ってしまったのは偶然で、そして当然その男は僕を排除したがる。自分の立場を崩すかもしれない唯一の人間を。


任務とは名ばかりの強制殉職。僕は囮役となり、知りすぎた機密情報と共に殺される。







ーーーー浅見光は義父の密告により殺されることになったのだ。工作員の娘を売り、組織中での自分の地位を上げるために。

また本人も義父が組織の人間だということに気付いていたのだろう。だから工作員なんて危険な仕事を選んだのかもしれない。






「………」





現在僕は、とある国のアパートの一室を借り生活をしている。側に喫茶店があったのでそこで雇ってもらい何とか生活資金を稼いでいる。

……じきに国を変えなければならないが。


滅多に客は来ない。恐ろしく治安が悪く、言語も複雑で独特なものだからだ。組織にいた頃運悪くここに一ヶ月滞在することになったので、相当勉強した記憶がある。






(あの子は、今どうしているかな)




連れて行くわけにはいかない。僕は本来死んだ人間であり、日本に置いてくるしかなかったのだ。…必ず守ると約束したのに。


僕が生存していると分かっているのは、部下である風見と……あともう一人。止むを得ず協力させた捜査官だ。





(そろそろ別の国に移った方がいいかもな。あまり長居しすぎると、勘づかれる)




小野寺はすっかり僕が死んだと思い込んで、今頃楽しい人生を送っていることだろう。








僕が懸念しているのは小野寺ではない。
彼よりも恐ろしく、執念深く、
ーーーーーー…美しい彼女のことだ。

--逃避行--→←6



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モミジ(プロフ) - この作品、最高です!この作品を読んで感動して泣きました。新作も読んで見ます!これからも応援しています! (2019年5月5日 16時) (レス) id: d4cb7d7d86 (このIDを非表示/違反報告)
ringo6349(プロフ) - こんばんは!完結おめでとうございます!ずっと私の中で物語を完結させたくなくて読めなかったのですが読めてよかったです。今回もとても素敵で好きなお話でした。本当にてなさんの書かれる物語が大好きです!忙しいので時間はかかるかもしれませんが新作も絶対読みます (2019年4月26日 22時) (レス) id: 66d3f8785b (このIDを非表示/違反報告)
てな(プロフ) - 華さん» 嬉しい限りでございます…複雑な心境を書くのがすごく難しかったです。コメントありがとうございますー!! (2019年3月29日 14時) (レス) id: 46f0755694 (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - すごいです…。私、占ツクの小説で泣いたの、初めてです。夢主の悲しみとか嫉妬心とかが分かりやすくて、一気に読んでしまいました。完結おめでとうございます!! (2019年3月28日 21時) (レス) id: 1c08efcab1 (このIDを非表示/違反報告)
てな(プロフ) - 蓮-Ren-さん» ありがとうございます!そう言っていただけると凄く嬉しいです…(´∇`) (2019年3月27日 13時) (レス) id: 46f0755694 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:てな | 作成日時:2019年3月21日 16時

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