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you side



『ろくでなしの俺を、許してくれ』



今更許してくれだなんて。

秀一は目に見えて混乱した私に
「また会いにいくよ」とあっさり帰って行った。


結局気持ちを落ち着かせることも出来ず
倉庫の中へは入らなかった。それから三日後
迷いに迷って彼の家に行くことにした。



ーーーーーーー秀一ではなく、降谷零の自宅へ。





「名前は本名だったようだし、
古い記事を片っ端から探せば見つかった。
……どういうわけか説明するまで、帰さない」




案の定この三日間で私の素性を調べ上げたようだ。
…てっきりドアを開けてくれないとばかり
思っていたから、少しだけ嬉しかった。





「そんなに私のプライベートが気になるの?
その新聞は奴らがすぐに消したから
世には数部程しか出回っていなかったもの…」




そう簡単に見つけられるわけがないのだ。
切り抜きの写真では、私と母が眩しい笑顔で
佇んでいる。…すぐに視線を逸らし彼を見据えた。


降谷は顔色を全く変えず「だから何だ」と呟く。




「…"だから何だ"って、なんでそこまで
犯罪者の過去を調べる必要があるわけ。
………弱みを握って自分の身を守るため?」

「違う」







「ーーーーーーー…知りたいだけだ」





お前が何のためにこんなことをしているのか。



今までに見たことがなかった。自信なさげに
下げられた眉も伏せられた力強い瞳も。
真っ直ぐに自分の気持ちをぶつけてきているのだろう。





(………話したところで、)






「……いいわ」





何も変わらないのに。






┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈




「高校から帰ってきたら…父が多額の借金を
全部母に押し付けて他の女と蒸発していた。
一生働いても返せない額の、ね」





全てはそこから狂い始めたのだ。


母は笑顔を忘れ私は泣くことを禁じた。
泣いてしまえばもう二度と、
立ち上がることは出来ないと感じたからである。

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てな(プロフ) - 華花。さん» 嬉しみ深いお言葉感謝です…!!ふりゃさんの複雑な心境をなんとか表現していきたいです(願望) (2019年2月15日 22時) (レス) id: 46f0755694 (このIDを非表示/違反報告)
てな(プロフ) - 御影さん» ああありがとうございます…ようやく旅行から帰れたので更新進めて行きたいと思っております! (2019年2月15日 22時) (レス) id: 46f0755694 (このIDを非表示/違反報告)
華花。(プロフ) - てなさんの作品大好きすぎてもうてなさん無しでは生きられない体になってしまってます(キモい)これから2人がどうなっていくのか…楽しみにしています! (2019年2月11日 23時) (レス) id: 2bd2296ed7 (このIDを非表示/違反報告)
御影(プロフ) - な、泣ける……。゜(´∩ω∩`)゜。先が気になるがとりあえず今日は寝ます。 (2019年2月10日 22時) (レス) id: 0f64e64eef (このIDを非表示/違反報告)
てな(プロフ) - シャラさん» コメント誠にありがとうございます!過去の作品まで見てもらえて感謝感激でこざいます…(*゚▽゚)かっこよい零くんを書くのが至福です!更新まったり頑張らせていただきます!! (2019年2月4日 0時) (レス) id: 46f0755694 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:てな | 作成日時:2019年2月1日 22時

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