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『ああ、まずは自己紹介をしないとね。
私の名前はまあどうでもいいわ、
身長は168cm体重は恥ずかしいから内緒。
好きなものはお金、スリーサイズは上から………』
ベラベラと聞いてもいない自己紹介を
勝手に話し始めた愉快犯に口元が引き攣った。
本当にこのアホ女が大怪盗アイリーンなのか?
そして、ある程度のプロフィールを話し終えると
画面の中の女は気だるげに頬杖をついた。
『世間では私を"平成のアイリーン・アドラー"
"怪盗アイリーン"だなんて
随分好き勝手呼んでいるようだけど』
『ーーーーーー私はアイリーン・アドラーじゃない。
私は彼女とは違って堂々たる犯罪者で
男よりも権力よりも、"お金"が大好きな極悪人』
『まあ世間の呼び名なんて結局その程度の物よね。
……それじゃあ、本題に入りましょ?』
ベールから僅かに見え隠れする
小悪魔のように妖艶でいて無邪気な微笑を
含んだを怪訝に見つめていれば、
突如ぴひゅーっ!!!と耳元で鳴り響いた
空気の抜けるような音に思わず肩を揺らした。
.
「……寝不足だからって、背後へ近寄る気配に
気付かないようでは公安は務まらないわよ」
駄菓子屋で売っている吹き戻しを口に咥えた、
先程まで画面の中にいたはずの愉快犯が
ぴたりと僕の背中にくっつくように伸し掛っていた。
(っ、一体いつから…!)
近付いてきたはずの彼女の気配を全く感じなかった。
驚倒したまま体を強ばらせていた僕の顔を
満足げに笑うと、甘えるように肩へ顎を乗せた
彼女が首筋に頬を寄せてきた。
その顔はやはり口元ぐらいしか見えない。
「…世間を騒がす大悪党が僕に何の用だ」
「今どきの駄菓子屋って品数増えたわね〜
子供ん時は拳銃のおもちゃなんてなかったのに」
「……」
殺気立った僕とは対照的に、呑気にぴゅるるーと
音を鳴らしてみせる彼女を無言でじろりと睨む。
枕の下に忍ばせてある拳銃をさり気なく手に取ろうと
すれば「あまり妙なことしないでくれる?」と
背中に硬い銃口が突きつけられるのが分かった。
どうやら相当厄介な悪党に捕まったようだ。
「もう、遊び心のない男ね。
……貴方にお願いがあって来たの」
はあ、とわざとらしいため息をついて
拗ねたと思えば、僕の体からあっさりと離れた
彼女が後頭部に手を回して何かの紐を解いた。
するりと床に落ちたベールから現れた彼女の素顔。
.
「ーーーー私に使われて」
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てな(プロフ) - 華花。さん» 嬉しみ深いお言葉感謝です…!!ふりゃさんの複雑な心境をなんとか表現していきたいです(願望) (2019年2月15日 22時) (レス) id: 46f0755694 (このIDを非表示/違反報告)
てな(プロフ) - 御影さん» ああありがとうございます…ようやく旅行から帰れたので更新進めて行きたいと思っております! (2019年2月15日 22時) (レス) id: 46f0755694 (このIDを非表示/違反報告)
華花。(プロフ) - てなさんの作品大好きすぎてもうてなさん無しでは生きられない体になってしまってます(キモい)これから2人がどうなっていくのか…楽しみにしています! (2019年2月11日 23時) (レス) id: 2bd2296ed7 (このIDを非表示/違反報告)
御影(プロフ) - な、泣ける……。゜(´∩ω∩`)゜。先が気になるがとりあえず今日は寝ます。 (2019年2月10日 22時) (レス) id: 0f64e64eef (このIDを非表示/違反報告)
てな(プロフ) - シャラさん» コメント誠にありがとうございます!過去の作品まで見てもらえて感謝感激でこざいます…(*゚▽゚)かっこよい零くんを書くのが至福です!更新まったり頑張らせていただきます!! (2019年2月4日 0時) (レス) id: 46f0755694 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:てな | 作成日時:2019年2月1日 22時