はじめましてと笑った彼女 ページ47
…
「人のことをジロジロと見ないでくださ……」
そう、にこにこと上機嫌で人の顔を見下ろす彼に
怪訝な顔を隠さず言ったと同時に、
バチバチとコンセントが音を立てて
一斉に店内の電気が消えた。
(停電?いや……)
ぐおっ、という男性の呻き声と
血が飛び散る音が僅かにした。
悲鳴と何かが倒れる音に混じって
ビッという剥がれ落ちる音が耳に入ってきた。
(…?)
「梓さん!早く!!」
「え?は、はい…!」
予想通り、梓さんにより照らされた店内では
血溜まりを作り先程の呻き声を上げた
成人男性が倒れていた。
それも背中に刺された跡を残して。
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Conan side
「ウソや!!何で血ィが付いてへんねん!」
刺身包丁で刺されたのは
まだ辛うじて息がある安斉典悟さん。
少し離れていた俺や服部に返り血がついたのなら
きっと犯人にも返り血が
べっとりとついてると踏んでいたのに、
俺達以外の客は一人たりとも
返り血を付けていなかった。
「プラグに針金が巻かれていますね。
これでショートさせて…暗闇と化した店内の中
誰にも気付かれないよう彼を刺したのでしょう」
はた、と服部が瞬きを繰り返す。
ハンカチを取り出し、放り出されている
ノートパソコンの差し込みプラグを手に取って
「細工したのは恐らく今日じゃないでしょうね」と
口角を得意気に持ち上げてみせたのは、
間違いなくこれまで幾度も難事件を解決させてきた
リセット探偵こと九条Aであった。
「素人が勝手に物漁るなっつってんやろうが!」
「失礼ですね。私はれっきとした探偵です」
慌ててAさんを止めようとした服部に、
彼女は眉をひそめながら
不機嫌そうに鞄から名刺を取り出した。
「はじめまして、九条Aと申します」
もうすっかり、この事件を解く気満々の顔だ。
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作者名:てな | 作成日時:2018年8月12日 17時