【名探偵コナン】はじめまして【降谷零】 (ページ45)

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私立探偵安室透の推理対象→彼女ページ45

…

Furuya side

(それにしても……なんで今日は
こんなに一段と冷たいんだ？)

冷たいだけ、ならまだしも…何故か
彼女はカウンター席から俺の姿をじっと見つめては
腑に落ちない様子で顔を顰めている。

ポアロに来てこんな行動をする
Aさんは、今までに見たことがない。

「あ、安室さん？何かしたんですか～…？」

「ええ…何もしてないというか
彼女にとって僕は初対面のはずですし…」

昨日の彼女はそれはもう友好的であった。

風邪で弱っていた所もあるが
俺の話を聞いてやっと、得意気に笑うでもなく
愛想笑いを浮かべるでもなく…

花を綻ばせたような
愛情のある微笑みを俺に向けてくれた。

(彼女がここまで俺を怪訝に見定めるのは一体…)

そこまで考えて、は、と顔を上げた。

(昨日までの彼女の毎朝では、
俺が渡したメモ用紙はなかったはず…)

恐らく昨日のAさんは
あのメモ用紙を捨てないと思う。

太腿に書いてある工藤有希子という女性に
連絡をとり、そのメモ用紙について聞いたが
それは彼女が置いたものではないという……

なら彼女以外の誰かが
メモ用紙を置いていったということ。

きっとそこまでAさんは推理するであろう。

……だがそれは俺が書いたものとまでは
特定出来ない、少なくともそれを書いたのは
正確な地図とオススメを書き残す人間…

店員関連だと彼女は仮定したのではないか？

(………うーん…)

梓さんの可能性だってあるのにAさんは
俺だけを見てあの微妙な表情を浮かべた。

けれど、俺が「こんばんは」と声をかけた時は
コナンくんを見た時と同じように
「誰？」と目を丸くしていた。

ーーーつまり

彼女が具体的な表情を
表に出したのは、俺が名乗った時。

「………僕の名前を、知っていた？」

だとしたら

記憶が眠ると失われる彼女は
何故俺の名前だけを知っているのだろうか。