首を傾げた名探偵と彼女 ページ44
…
Conan side
「おい工藤、なんやあの女…
えらい態度悪いやないか」
「はは……」
男二人で寂しくお冷を飲みながら
今日が13日の金曜日だなんだと
加わった安室さんも交えて話をしていれば、
もはや常連と化したAさんが来店してきた。
だがしかし、目の前で顔を顰める服部の言う通り
今日のAさんはえらく態度が悪いのである。
それも安室さんにのみ。
(俺が挨拶した時は怒ってもいなかったし…
不機嫌ってわけでもなさそうだよな)
妙にジロジロと見られたものの、
別にこれといって毎回毎回会う度行われる
初対面説明会の様子と大して変わらなかった。
「……なんで人の好物を知ってるんですか」
「Aさんが昨日おいしそうに
僕の料理を食べていたので…
つい好き嫌いを分析してしまいました」
「気持ち悪い人ですね」
「今日は"おかしな人"じゃないんですか？」
ただ、今日はいつもと違って
Aさんの前には彼女が注文した
アップルティーだけ…ではなく
隣に小さなオムライスが置かれているのだ。
それを見た彼女が小声で
「そういえば、何故かキッチンに
ケチャップと卵のパックが…」と零していた。
「大体病人にオムライス作ったんですか貴方」
「お粥も作ってあげましたよ。
でもAさんが安室さんの
他の料理も食べたいと言い出したので…」
「……貴方でっち上げてるんじゃないでしょうね」
もはや敬語まで取れてしまっている。
今までどんなに安室さんを
怪訝そうな顔で見ていても、
決して敬語を外そうとはしなかったというのに。
「僕が貴方が記憶のないことを利用して
嘘の発言をしていると？」
「その可能性は非常に高いかと」
「僕は貴方と話がしたいだけです。
貴方と話すのはとても楽しい」
「意味がわかりません」
可愛げの欠片無い言葉を吐きながらも
もぐもぐとオムライスを口にしていくAさん。
そんな彼女を見つめながら
安室さんは何処か嬉しそうに頬を緩め
「つれないなぁ」と口にした。
(…………あれれ……？)
安室さんはいつの間にそんな表情で
Aさんを見るようになったのかな？
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作者名：てな
| 作成日時：2018年8月12日 17時
