介抱探偵安室透と彼女 ページ33
…
「………コナンくん、
この荷物をポアロまで届けてくれないかな。
彼女は僕が病院に運んでくるよ」
「え?」
狼狽えた様子の子供達の前に
どさりとポアロの買い出し品を置いて、
沖矢さんにこっそりと耳打ちをした。
「……彼女、病院には行きたくないそうです」
「………」
「彼女の家を知っているなら、教えて下さい」
本当なら沖矢昴の家に預けておきたいところだが、
阿笠博士が風邪を引いているとなれば
子供達の面倒を見なければならないだろう。
沖矢昴はその事情を察した俺に
九条Aが住んでいる家の住所を
メモ用紙に書き起こした。
「どうして彼女の家まで知っているのかは
気になりますが…今は彼女を優先させます」
「頼みます、」
そうと決まれば急がなければ、
苦しそうに呻くAさんを抱え直して
「安室さんに任せて私達は
ポアロへ行きましょう」と
子供達に促す沖矢昴を背に駐車場へと向かった。
(不本意だが、……好都合だ)
九条Aの自宅に行けば、
なにかヒントがあるのかもしれない。
ただAさんはもう意識がない状態だ。
きっと俺のことも起きたら忘れているだろう。
(………不思議な人だな)
体質は勿論、妙に聡い彼女には
どうも首を傾げるばかりだ。
......................................................
「……」
助手席ですっかりと寝入ってしまったAさんを
もう一度抱えて、沖矢昴のメモ用紙に書かれた
アパルトマンの駐車場に車を停めた。
洋風な外見は何処か浮世離れした
雰囲気の彼女にとても合っている。
(他の住人は…今はいないようだな)
変な誤解をされては困るからな…と
一息ついて階段を上がっていく。
彼女の鞄に入っていた鍵を拝借し鍵穴に差し込めば
ガチャリと音を立てて重たい扉が開いた。
ピッキング無用で助かる。
「…」
「まるで反応がないな、大丈夫か?」
小さな部屋にある大きなベッドに
Aさんを降ろして様子を見るも、
荒い呼吸をするのみ。
軽く肩をを揺すっても全く起きそうにない。
(………薬でも買ってくるか)
ラッキースケベの被害者と彼女→←咄嗟に抱き上げた病院に行きたくない彼女
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作者名:てな | 作成日時:2018年8月12日 17時