【名探偵コナン】はじめまして【降谷零】 (ページ32)

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咄嗟に抱き上げた病院に行きたくない彼女ページ32

…

「えーっ！？コナンくんも分かってたの！？」

「ま、まぁな…でもAさんより
解読したのはちょっと遅かったよ」

「すっげえなコナン！」

騒ぎながら沖矢さんの車で
これから帰路につくという彼らを
ぼんやりと見つめながら、

隣で「面白い物も見れたし…
そろそろ行きましょうか」と
子供達に笑いかける沖矢昴をじろりと睨んだ。

「彼女とは古い知人なんですか？」

「………ええ、数年ほど前でしょうか…」

「それは知りませんでした、前にあった事件では
Aさんに視線を向けていただけでしたが
話しかけようとは思わなかったんですか？」

「仕事中だったのでね…
邪魔しても悪いでしょう？」

相変わらず胡散臭い男だ、と内心で毒を吐きつつ

「そうですか…では僕もそろそろ帰りますね」と
笑顔を作って両手に抱えている袋を
持ち上げながら緩く手を振った。

「ばいばいAさん！」

「………」

(………やはり、か)

おかしいとは思っていたが、やはり
彼女の様子の原因は的中していた。

「っ、Aさん！」

「…おっと…！」

ふら、と冷たい床へと倒れかけた肩を
咄嗟に伸ばした腕でキャッチし、
持っていたスーパーの袋を地面に落とした。

(……高熱だな)

紅潮した顔に荒い呼吸、
会った時から度々くしゃみはしていたが、
まさかここまで悪化していたとは。

「Aさん凄い熱だよ…！」

「あぁ、きっと本人は気付いてなかったんだろう」

すぐ病院に行こう、という
コナンくんと沖矢さんの声に頷き
ぐったりとしている彼女を抱き上げる。

………と、車へ向かおうとした俺の腕を、
何かがやんわりと握った。

「……………病院、は……」

いや、です。

俺の腕の中で朦朧とした意識の中
そう訴えた彼女の顔は、
酷く怯えているようだった。