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仲の悪いガールズバンドと彼女 ページ3




「山路萩絵さんが絞殺されたドラム付近が
全く見えなくなり…誰が彼女を殺したか
わからなくなった…という事ですな?」


勘弁してくれ…と思わず
額に手を当て天を仰ぎたくなった。

JK3人組でバンドを組むから
安室さんに教えて欲しいと園子さんから頼まれ、
練習がてらスタジオまで赴いてみた結果。

コナンくんがいる時点で「あれれ…」とは思ったが
やはりあの時点で遠慮しとくべきだった。



(眠いな…まぁ、夜には間に合うだろう)



あの女のことだ。遅れたなんて連絡をすれば
貸しを作ることにならざるをえない。






「へえ、私ギターって初めて見ました」





と、うーんと頭をうならせていれば
高木刑事と目暮警部の隙間から
ひょいと身をくぐらせて、

おぞましい殺人現場を一人の女性が見渡した。



「っ、な、なんだね君は…!」

「すみません、部外者は
立ち入り禁止となってまして…」



たちまち如何にも刑事な自分達をスルーして
堂々と現場に足を踏み入れたその女性に
二人は怪訝そうな表情を浮かべて彼女に歩み寄る。

勿論俺も「なんだコイツ」と一瞬思ったが
見覚えのある顔に肩を揺らした。



「……さっき、ポアロで
アップルティーを飲んでいたお客様ですよね?」

「え?」



糸のように細い髪を一本一本揺らしながら
彼女がくるりと振り向いた。


俺を見上げるその表情に
ポアロで見た時の熱情は見えない。

恐らく読んでいた本の
登場人物に感情移入でもしていたのだろうが。



「あ、あの人よきっと!すみませーん目暮警部」

「む…園子くん?」



プチ邂逅を果たし呆然としていれば。


パタパタと足音を立てて
嬉々とした表情を浮かべている園子さんと

「園子、静かに!」と慌てて
人差し指を立てる蘭さんが走ってきた。





「___ほらやっぱり!!
今話題の"忘失探偵"だってー!」





忘失探偵。




園子さんがそう言って指さした先は、
ポカンとする目暮警部でも
「忘失探偵?」と復唱する高木刑事でもなく。



「…はじめまして」


九条Aといいます。




ふんわりと笑った彼女であった。

今話題のリセット探偵な彼女→←アップルティーを頼んだ見覚えのある彼女



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作者名:てな | 作成日時:2018年8月12日 17時

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