検索窓
今日:7 hit、昨日:15 hit、合計:203,771 hit

駆け引きをする疲れた彼女 ページ20





「芸術家は妙な生き物ですね、」

「……波土さんのことですか?」



円城さんが彼を他殺に見せかけたのは
記者に自害と書かれたくなかったから。

彼との子を妊娠した彼女が流産した理由が
自分だと知った彼は自ら命を絶った。

それが家族や世間に露見されることが
彼女には耐えられなかったらしい。





「ステージで死にたいなんて、
そんな人の気が知れません。少なくとも私は…
目立たない所でひっそりと死にたいです」

「願望があるんですか?死への」


「……目が覚めてこの絶望的状態を突然
突きつけられる私は、相当物珍しいようです」




「疲れますね、」とうんざりした様子で
Aさんがため息をつく。
その目は連行されていく円城さんを見ていた。



どうやら、例の雑誌記者から九条Aを
取材をさせてほしいとしつこくせがまれたそうだ。

記憶が一日でリセットされるなんて
病気は今まで聞いたことがない。
そしてそれも職業は探偵なのだから。




「…人間は常識から外れた人間に
目ざといですから、」

「………私が非常識だと?」

「貴方のその妙に冷静な所。
そして洞察力観察力に加え的確で正確な推理…
少なくとも僕は貴方を普通の人と見れません」




ふにゃ、と困ったように笑いかけると

Aさんは「…貴方は、自分の経験則から
私にそう言っているように見えます」と
円城さんから目線を外して
しっかりと俺を大きな瞳に捉える。




「人間は常識から外れた人間に目ざとい…
確かに私達は自分と少し違う人間に
非常に興味を持ちやすいです。

…そして貴方は私と違う、
髪色も目の色も、肌の色も」


「おや、僕を推理しているんですか?」


「過去にそういう珍しい目で
見られた経験があるのでは?」




見られたさ、そのせいで俺は散々怪我を負った。

そしていつもあの人に
手当してもらってたのだから。

忘却される会話と言葉を紡ぐ彼女→←気になるスマートフォンと彼女



目次へ作品を作る
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.8/10 (137 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
314人がお気に入り
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:てな | 作成日時:2018年8月12日 17時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。