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気になるスマートフォンと彼女 ページ19




「そうなんです。…そしてこの結び方が出来るのは
過去に運送業者でバイトをしていた彼女」

「……」


貴方ですね、と微笑んだAさんに
円城さんは思わず目を逸らす。



「おいおい、いくら彼女が昔
そういうバイトをやってたからって…」

「足の大きさだよ!」



コナンくんがすかさず納得のいかない様子の
布施さんにそう言い、そしてまた続けた。


運送業者の人は腕にロープを巻いて束ねる。
これの内側はおよそ束ねた人間の足の大きさほど。

肘から手首までの長さが
その人の足の大きさだから。



「現場にあったロープも
蘭姉ちゃんぐらいで束ねられてたからさ…」

「……でも、」



犯人が彼女を犯人に仕立てあげようと、と
言いかけた布施さんにAさんが笑う。



「違いますよ、だって彼女の背中に
サークルレンズがついているんですから」

「えっ?……」



確かに円城さんの背中には
片方のみのサークルレンズが付着していた。

波土さんは自分の顔が
近寄り難い印象を持たせると自負していたため
サークルレンズを使用していたという。

確か梶谷とかいう雑誌記者が撮った波土さんと
波土さんの運転免許の写真の
印象の違いを比べて分かったことだ。



「けれど、彼女は殺してません」

「っ、な、なに!?」


「彼女は自害した波土さんを発見し、
その現場を殺人現場に変えただけです」




狼狽えた目暮警部にAさんが
自身のスマートフォンに映っている
パイプ椅子を提示する。

何故か背面にはマジックペンで
スマートフォンと書かれていたが。




「パイプ椅子の裏にもう片方のサークルレンズが
くっついてました。つまり吊し上げられた
波土さんの足元にパイプ椅子があったということ」


「……あのタコ糸がついた野球ボールは
天井のバーにタコ糸を通しそれを引っ張って
ロープをバーに渡すために使ったもの、ですよね」




そして付け加えるように俺が彼女にそう言えば、
「そうなんです」と得意げに微笑まれた。



「円城さんにはあのバーを越すほど
ボールを高く投げられない。でも、
高校時代強肩だった波土さんなら…」


加えて波土さんの胸ポケットに入っていた
彼直筆の"ゴメンな"の文字。




「…波土さんは自ら命を絶った」




恐らく動機は貴方達がよく知っているかと、と
俺達の視線を顔面蒼白の円城さんと
狼狽えた様子の布施さんに向けさせた。

駆け引きをする疲れた彼女→←推理をする恐ろしい彼女



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作者名:てな | 作成日時:2018年8月12日 17時

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