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アップルティーを頼んだ見覚えのある彼女 ページ2



Furuya side



「ーーーいらっしゃいませ!」



ガヤガヤと賑わうポアロの店内を
忙しなく周りながら梓さんが入店してきた
お客さんにニコリと微笑みかける。

俺も同様「いらっしゃいませ」と笑って、
再び手にかけているハムサンドに目線を落とした。



(……今日は恐らく風見に言っておいた
資料が届くはず、それに少しでも目を通してから
その後はベルモットの送迎を……)


今日も今日とて多忙なスケジュールである。

昨日、といっても今日の午前3時だが
仮眠を取ろうと決心したその瞬間に
風見から臨時の連絡が来たり

ベルモットから「今夜空いてるわよね?」と
半ば強引に送迎を取り付けられたりと、

とにかく寝不足なのだ。


それはもう「安室さん
アイスコーヒーお願いします」と梓さんに言われ
「ああ、分かった」と完全に
降谷零モードで返答してしまうくらいに。


挙句の果てには黒田管理官からの
恒例「ぬかるなよ」連絡に「は〜い!」なんて
JK向けの安室透モードを出してしまった。

電話を切った後に気付いた。



(……歳には勝てないなぁ)



「すみません。アップルティーをください」

「っ、…かしこまりました。少々お待ちください」



と、脳裏でそんなことを考えながら
キャッキャウフフ中のJK3人組+何処か白い目で
それを見ている小学一年生にお冷を出し、

カウンターの向こうへ戻れば見覚えのある女性が
メニュー表を指さしてそう言った。



(……この人は確か…)



確か、三日前にも来ていた気がする。
そういえば一週間前にも。

常連というほど常連という頻度ではないが、
たびたび来ているのだろうか。



「お待たせ致しました。アップルティーです」

「ありがとうございます」



熱心に本を読んでいる彼女の前にカップを置いた。
そういえば前にも本を読んでいたような気もする。



「……」



瞬きをするたびにぱさぱさと
音が鳴りそうな睫毛に隠れたブラウンの瞳は、

俺に一瞬だけ向けられて
すぐにまた分厚い本へと落とされた。

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作者名:てな | 作成日時:2018年8月12日 17時

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