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第七話 ページ7




akai side





『お兄ちゃん、私……』





まだAが中学生の頃は、
俺のことをそう呼んでいたんだ。

玄関から音がして雑誌を開きながら
ドアに目をやれば、
ボタボタと涙を零しているAが立っていた。







『っ!、?…A、どうした?』



『ごめんなさい、…ごめんなさい…』







嗚咽混じりに謝り続けるAを抱き締めて
頭を撫でてやると、俺のシャツを
強く引っ張りながら大声で泣き始めた。






「Aは滅多に泣くことが無かったから、
俺も秀吉も対処に困ってね」




「泣き止ませる赤井の姿なんて
想像出来ませんしね」







いつも通り辛口の安室くんに苦笑しながら
事の続きを話した。






あの後、泣き疲れたAを寝かせてから
母さんに事情を聞いてみた。

なんでも、Aは随分前から
クラスの女子達に虐められていたようだった。







『あの子は可愛いから、何かと目立つのよ。
……それが裏目に出て男子を釘付けにするAを
恨む女共が手を組んでいたらしいわ』




『どんな言葉を言われようとも耐えていた、
けれどある女に"シングルマザー"であることを
馬鹿にされて、………』









俺の妹は優しかった。


迷子の子供がいれば、デート中であろうが
行列に並んでいようが
平気で「こんにちは、」と
微笑みかけるような、自慢の妹だった。





Aの将来の夢は、アメリカ連邦捜査局
通称FBIだった。







『思わず女を突き飛ばしてしまったそうで、
…丁度足場が悪かったのか、怪我を負ったらしい。
……学校から連絡が入ったわ』





『親は大激怒、自分の娘がやったことに
気付きもしないで……』








相手の女共が悪いに決まってる、と
怒りが湧いてきたが、

Aの中では
『自分の行為で彼女に怪我を負わせた』
という認識になっているらしい。








(形にするか、しないかの問題だろう)








聞けばクラスの女共は
Aに汚い言葉を吐き捨てたり、

些細な嫌がらせや陰口を
バレない程度に、かつAには
効果が現れるように

といった行為をここ暫く続けていたらしい。






やっている行為自体は違うだけで、

Aが怪我を負わせた女の何倍も
Aは苦しい思いをしただろうに。

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休校 - 半端じゃなく、面白かったです!笑 ありがとうございました! (2020年6月21日 17時) (レス) id: e4ab2b5df5 (このIDを非表示/違反報告)
ぱる(プロフ) - こんな素晴らしい作品を作ってくださって感謝しかないです…!ストーリー構成が完璧で、赤井さんのシスコン具合も最高だし、なにより、主人公のキャラが好きです…!!!大好きです!ほんとにありがとうございます!! (2019年12月18日 20時) (レス) id: 7131cab108 (このIDを非表示/違反報告)
てな(プロフ) - 四皇子さん» ありがたきお言葉…大感謝感激祭です… (2019年2月4日 12時) (レス) id: 46f0755694 (このIDを非表示/違反報告)
てな(プロフ) - たんぽぽ珈琲さん» わー嬉しいです!!気に入っていた作品なのでありがたいです〜(*゚▽゚) (2019年2月4日 12時) (レス) id: 46f0755694 (このIDを非表示/違反報告)
四皇子 - 500評価から501評価にしてしまった、罪悪感、、 (2019年1月31日 16時) (レス) id: 3e09273f36 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:てな | 作成日時:2018年7月8日 14時

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