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番外編 3 ページ37





「……」

「……」



「恥ずかしいから目を瞑ってほしいわ」

「却下」



すぱんと本音を言ってきたAに
容赦なくそう言い放つと、
舌打ちと上目睨みが返ってきた。

これでもかという程にガン見してやる。

俺は可愛い恋人にキスがされたいのだ。



「……」



ようやく無駄だと分かったのか、
Aが絶望した表情で項垂れた。




「……貴方のその頑固なところ、嫌いだわ」

「それはどうも」




肘置きに肘をつきながらまじまじと
Aを見つめる。相変わらずいい体してるな…と
下心丸出しで傍観者を気取っていれば、


少し間を開けて、Aの柔らかい唇が
優しく押し当てられた。





(………学生じゃあるまいし…)




今まで彼女としてきた中で
一番清純なキスであろう。

キスというか…くっついてるだけ、というべきか。




「…」


「舌、入れて」




そう言ってAに指示すれば
瞬きを数回した彼女が、俺の閉じられた唇を
開けようと控えめに舐め始めた。

猫か…と思いながらも
少し意地悪のつもりで口を引き結ぶ。



「ん゛……れーくん」

「ほらどうした」

「意地悪してるわね?」



ぶっすりとむくれてしまったAに
「ほら」と苦笑してから
あ、と小さく口を開けた。



「……っ、ぅ…」



たどたどしい動きで舌を入れてきた彼女は
呼吸も苦しそうで、俺の首に回された腕も
ふるふると震えている。




「ん、……ふ……っえ、あっ…!」




もういい?と言わんばかりの目で見てきた彼女を
シートごと押し倒し「だめ」と耳元で囁いてから
もう一度深く唇を合わせた。




「……可愛い」


「は?…付き合う前がよかったんでしょ」


「いいとは言ってないだろ、」




屁理屈言わないで!と俺を引き剥がそうと
暴れる彼女のシャツに手をかければ
動きがピタリと止まった。

自分が何をされるのか分かったのだろう。




「車汚れちゃう…」

「可愛こぶるなよペテン師」

「警察呼ぶわよ」

「はいはい」




あまり騒ぐと気付かれるぞ、と注意しておき
呆れた様子のAを抱き寄せた。

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休校 - 半端じゃなく、面白かったです!笑 ありがとうございました! (2020年6月21日 17時) (レス) id: e4ab2b5df5 (このIDを非表示/違反報告)
ぱる(プロフ) - こんな素晴らしい作品を作ってくださって感謝しかないです…!ストーリー構成が完璧で、赤井さんのシスコン具合も最高だし、なにより、主人公のキャラが好きです…!!!大好きです!ほんとにありがとうございます!! (2019年12月18日 20時) (レス) id: 7131cab108 (このIDを非表示/違反報告)
てな(プロフ) - 四皇子さん» ありがたきお言葉…大感謝感激祭です… (2019年2月4日 12時) (レス) id: 46f0755694 (このIDを非表示/違反報告)
てな(プロフ) - たんぽぽ珈琲さん» わー嬉しいです!!気に入っていた作品なのでありがたいです〜(*゚▽゚) (2019年2月4日 12時) (レス) id: 46f0755694 (このIDを非表示/違反報告)
四皇子 - 500評価から501評価にしてしまった、罪悪感、、 (2019年1月31日 16時) (レス) id: 3e09273f36 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:てな | 作成日時:2018年7月8日 14時

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