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第四話 ページ4





「そんなわけで、この二年間
詐欺師としての世良Aを死んだことにして

FBIの入局テストの勉強を
秀一につきっきりで教えられてたの」





無事テストは合格。

赤井秀一の妹としてFBIに歓迎されたものの。

アメリカンな方々には
『シュウの妹か!兄貴と違って
随分チャーミングなんだな』と馬鹿にされたので
デート代と称しておよそ5万円程貢がせた。








「組織の残党狩り、
ベルモットの捜索もろもろのために
FBI捜査官である私が、公安に派遣された……

っていうのがここ二年間の
貴方達が知りたかった私の動向かしら?」






「………、」








しん、と静まった公安の方々を見渡していると
一度も動きを見せなかった安室くんが
大股一歩を踏み出した。







(馬鹿にしてるのか?、とでも言うつもりかしら)









彼から投げられる言葉は、
そんなものかと勝手に思っていた。


安室くんの顔を見上げるまでは。









「__……安室、くん?」









.






「どれだけ僕が後悔したと思っている?」









周りの公安警察が、怯えたように肩を揺らした。

それ程彼の表情は冷えていて
けれど私の腕を力強く掴む手は、
小さく震えている。









「僕を守ったつもりか?ふざけるな。

あの時お前の策略に気付くべきだった、
もっと早くお前を保護すべきだった、

………僕は、お前に守られたいだなんて
思ってない」






「………、あら、助けてもらった相手に
その言葉は、な、いっ……!…?」









___ふわ、と柔らかな、
太陽の匂いが鼻をくすぐった。

ぎゅうぎゅうと、強く抱き込まれているのだと
分かった頃には、周りの部下達が
「ふっ、ふふふ降谷さん!!?」と
わーぎゃーと騒いでいる。





彼の腕から逃げようとしても、
一向に彼の胸から頬が離れない。



それどころか、頭を優しく撫でられて
「よかった」と小さな彼の声が聞こえてきた。









.









「___生きててくれて、よかった」









「…………、は…?」









考えてみれば






彼は私が嫌いで、私も彼が嫌いで。





そのはずだった、のに。




いつの間にか

彼は私を守っていて、私は彼を守っていた。

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休校 - 半端じゃなく、面白かったです!笑 ありがとうございました! (2020年6月21日 17時) (レス) id: e4ab2b5df5 (このIDを非表示/違反報告)
ぱる(プロフ) - こんな素晴らしい作品を作ってくださって感謝しかないです…!ストーリー構成が完璧で、赤井さんのシスコン具合も最高だし、なにより、主人公のキャラが好きです…!!!大好きです!ほんとにありがとうございます!! (2019年12月18日 20時) (レス) id: 7131cab108 (このIDを非表示/違反報告)
てな(プロフ) - 四皇子さん» ありがたきお言葉…大感謝感激祭です… (2019年2月4日 12時) (レス) id: 46f0755694 (このIDを非表示/違反報告)
てな(プロフ) - たんぽぽ珈琲さん» わー嬉しいです!!気に入っていた作品なのでありがたいです〜(*゚▽゚) (2019年2月4日 12時) (レス) id: 46f0755694 (このIDを非表示/違反報告)
四皇子 - 500評価から501評価にしてしまった、罪悪感、、 (2019年1月31日 16時) (レス) id: 3e09273f36 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:てな | 作成日時:2018年7月8日 14時

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