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第二十九話 ページ29




you side



およそ三日前。つまり彼に私が『好き』と告げた
爆破未遂事件の日に遡る。

降谷くんは風見に「悪い、一旦抜ける」と
言ってからRX-7の中に私を連れ込んだ。






「A、」



「降谷くん、」






名前を呼ぶ降谷くんの声を遮れば、
彼は口を引き結んで私をじっと見据えてくる。






「アナタが死ぬことが、とても嫌だった。
アナタが私を見る表情が、とても柔らかかった。

___アナタが私の名前を呼ぶ時、
私は決まって心の奥底がもやもやした」



「アナタと一緒に、死にたくなかった。
………アナタと一緒に、生きたいと思ったの」






好き、と彼に告げたその瞬間。
胸につっかえていたモヤモヤは晴れていった。



(好きなんだな、きっと)



そう、すんなりと受け入れてしまった。







「………私が、好き?」







詐欺師としての、綺麗で妖艶な私ではなく。

雑で口も悪くて料理も出来ない、
女としての魅力はこの外見くらいな私を。






「………あぁ、愛してるよ」






彼は、愛してくれているそうだ。









......................................................


akai side






「___…と、ここまでが君のパパとママの話だ」





ん?、と相槌の声が聞こえなくなり
膝の上にいる小さな子供の顔を覗き込めば、
案の定すやすやと眠っていた。

なんとなく妹の顔に似ていて、
まあ当たり前かと笑った。


バタン、と扉の開く音がして
ドアが開いたと思えば、その妹が顔を出した。




「おかえり、……随分可愛い服を
買ってもらったようだな」


「零くんが着てほしそうにするから!
………寝ちゃったのね、ごめんね透〜♡」




ちゅ、と寝落ちた幼子の頬にAが口付ける。
ん゛〜、と居心地悪そうに唸る"透"を見て
Aは幸せです、と
言っているかのような微笑みを零していた。





___降谷零と、赤井Aの息子。

降谷透は昨日で六回目の誕生日を迎えたのだ。

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休校 - 半端じゃなく、面白かったです!笑 ありがとうございました! (2020年6月21日 17時) (レス) id: e4ab2b5df5 (このIDを非表示/違反報告)
ぱる(プロフ) - こんな素晴らしい作品を作ってくださって感謝しかないです…!ストーリー構成が完璧で、赤井さんのシスコン具合も最高だし、なにより、主人公のキャラが好きです…!!!大好きです!ほんとにありがとうございます!! (2019年12月18日 20時) (レス) id: 7131cab108 (このIDを非表示/違反報告)
てな(プロフ) - 四皇子さん» ありがたきお言葉…大感謝感激祭です… (2019年2月4日 12時) (レス) id: 46f0755694 (このIDを非表示/違反報告)
てな(プロフ) - たんぽぽ珈琲さん» わー嬉しいです!!気に入っていた作品なのでありがたいです〜(*゚▽゚) (2019年2月4日 12時) (レス) id: 46f0755694 (このIDを非表示/違反報告)
四皇子 - 500評価から501評価にしてしまった、罪悪感、、 (2019年1月31日 16時) (レス) id: 3e09273f36 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:てな | 作成日時:2018年7月8日 14時

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