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第二十六話 ページ26




「A!!、」



「………降谷、くん」




カンカン、と音を立てて走ってきた彼が
私の隣で膝を立てしゃがみこんだ。
爆弾を見ると、「同じタイプだな、…」と
少しばかり嫌な顔をした。

解体道具を取り出して爆弾の解体を始めた
降谷くんの横顔は、何処か焦っていた。





「……このタイプは、厄介なんだよ」



「…そうね、私もよくドラマで見たことあるわ」





パネルに表示された数字は5:00。

残り5分となったところで彼は
手に持っていた解体道具を戻し、
爆弾の中を見るよう私に促した。





「赤いコードと青いコード、
……どちらかを切れば爆破が防げる」



「どちらかを切れば、即爆破…」





はあ、とお互いため息をついた。
降谷くんは笑っていながら
「なぁ、」と私に話しかけた。





「選んでくれないか?」



「は?」



「お前が赤を選ぶなら赤を切る。青なら青を切る」




爆弾の解体なんてやったことがない。
それもこんなコード、助かる確率は2分の1。


ここにいる限り私と降谷くんは確実に死ぬ。






「他の警察官はなるべく出口に近い場所へ
避難させておいた……多少怪我はすると思うが、
死にはしない。まあ死ぬのは僕達ぐらいだろうな」



「な、に言ってるの、
……なんでアナタは避難しなかったの!?」



「あと3分、どう足掻いても僕達は逃げられない。
逃げても間に合わないだろう?
だがどれぐらいの規模かは
見ないと分からなかった………だから僕が来た」




爆破物を発見した彼は、おおよその規模を計算して

密かにスマートフォンで他の警察官に
連絡を取り、なるべく出口にの近くで
待機しているよう避難勧告を出したのだ。

解体はしたものの、
コード式となればあとは運任せだ。







「___お前がどっちを選んだって、構わない」




「馬鹿言わないで!!もし違う方を切れば…」






死んでしまう、そう言いかけた私の顔を見ては
また口元を緩くして笑う
降谷くんの胸を軽く小突いた。





「アナタを死なせたくない」



「……ずるいな、ほんとに。
お前と一緒に死ぬのも悪くないかもな」



「…馬鹿ね」



「言ったろ。お前の前じゃ僕は馬鹿になるんだよ」






どうしようもなく彼に触れたくなった。

隣に座る彼の首に腕を回し抱きつくと
「怖いか?…」と背中をさすられた。







(………死にたくない。死なせたくない)






赤と青。





私は___…






.

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休校 - 半端じゃなく、面白かったです!笑 ありがとうございました! (2020年6月21日 17時) (レス) id: e4ab2b5df5 (このIDを非表示/違反報告)
ぱる(プロフ) - こんな素晴らしい作品を作ってくださって感謝しかないです…!ストーリー構成が完璧で、赤井さんのシスコン具合も最高だし、なにより、主人公のキャラが好きです…!!!大好きです!ほんとにありがとうございます!! (2019年12月18日 20時) (レス) id: 7131cab108 (このIDを非表示/違反報告)
てな(プロフ) - 四皇子さん» ありがたきお言葉…大感謝感激祭です… (2019年2月4日 12時) (レス) id: 46f0755694 (このIDを非表示/違反報告)
てな(プロフ) - たんぽぽ珈琲さん» わー嬉しいです!!気に入っていた作品なのでありがたいです〜(*゚▽゚) (2019年2月4日 12時) (レス) id: 46f0755694 (このIDを非表示/違反報告)
四皇子 - 500評価から501評価にしてしまった、罪悪感、、 (2019年1月31日 16時) (レス) id: 3e09273f36 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:てな | 作成日時:2018年7月8日 14時

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