第二十四話 ページ24
…
「降谷くん、私が持つわ」
「これぐらい余裕だ」
貸して、と服が入った袋に手を伸ばしても
ひょいと避けられて
彼はさっさと歩き出してしまう。
早歩きで彼の隣に並び
どうにもソワソワする……とぶすくれていると、
「……ふはっ、…ぶさいくだな」
私の顔を見て吹き出し、頭を愛おしそうに
撫でてくる降谷くんの顔が。
___恐ろしい程に穏やかで、幸せそうだった。
(………本当に、私が好きなのね)
他人事のように傍観者を気取っている。
そんな私を知る由もない降谷くんは、
バイブしたスマホを取り出して「悪い」と
一言残してから通路の隅に避けた。
(好き、…か)
彼の事は嫌いじゃない。
二年前までは邪魔で邪魔で仕方がなかったが。
今ではすっかり絆されて、
likeの方に傾きかけてる……気がする。
『愛してる』
「…………、っ…」
あんな声で、顔で、落ちない女が
いるわけがないのだ。そう、普通の女ならば。
私は人を騙してはいつだって
偽りの恋人役を演じてきた。
「………なに?まずいな、」
「……」
彼が焦った声色でそう答えた。
急いで通話を切ると私に「よく聞け、いいな」と
言い聞かせてくる降谷くんは、こう続けた。
「___爆弾が、このモールに
設置されているそうだ」
デートの続きはまた今度だな、と
困ったように笑う降谷くんに
「馬鹿言ってないで早く行くわよ」と声をかけて、
密かに小さなため息を漏らすのであった。
......................................................
犯人の目星はとうについているらしく、
降谷くんが連絡した風見くんら公安が全力で
モール内を捜索しているようだ。
どうやら予告によれば時限式らしく、
避難勧告を出されたモール内は
がらんと人がいなくなった。
だが、予想外のことに。
「………ロックがかけられてるわね」
客達は避難出来たものの、残された警察官が
何処にあるかも分からない
爆弾と共に閉じ込められたのだ。
勿論降谷くんと、私も。
2706人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「名探偵コナン」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
休校 - 半端じゃなく、面白かったです!笑 ありがとうございました! (2020年6月21日 17時) (レス) id: e4ab2b5df5 (このIDを非表示/違反報告)
ぱる(プロフ) - こんな素晴らしい作品を作ってくださって感謝しかないです…!ストーリー構成が完璧で、赤井さんのシスコン具合も最高だし、なにより、主人公のキャラが好きです…!!!大好きです!ほんとにありがとうございます!! (2019年12月18日 20時) (レス) id: 7131cab108 (このIDを非表示/違反報告)
てな(プロフ) - 四皇子さん» ありがたきお言葉…大感謝感激祭です… (2019年2月4日 12時) (レス) id: 46f0755694 (このIDを非表示/違反報告)
てな(プロフ) - たんぽぽ珈琲さん» わー嬉しいです!!気に入っていた作品なのでありがたいです〜(*゚▽゚) (2019年2月4日 12時) (レス) id: 46f0755694 (このIDを非表示/違反報告)
四皇子 - 500評価から501評価にしてしまった、罪悪感、、 (2019年1月31日 16時) (レス) id: 3e09273f36 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:てな | 作成日時:2018年7月8日 14時