第二十三話 ページ23
…
you side
「___…おはようA、」
「おはよう降谷くん。毎朝飽きないわね」
今年から住み始めた新居。
いつの間に私の住所を特定したのか、
朝出勤するためにドアを開ければ
必ず彼が立っているのだ。
これで七回目、つまり一週間降谷くんは
私の家の前でスタンバっている。
毎日欠かさず。
「今日は私お休みなんだけど、…」
「奇遇だな。僕も今日は休みを取ったんだ」
いや絶対調べたろ。と心の中では思いつつ
何処かでちょっとだけ嬉しい、と浮かれていた。
実際この七日間、彼は全力で
私にアプローチを仕掛けてきた。
昼食に連れて行かれたり
書類整理を手伝ってくれたり
更には毎晩の如く自宅まで送り届けられた後、
ドアノブに手をかけた私の耳元で
決まってこう囁いて彼は笑うのだ。
『___おやすみA、愛してる』
(…………ずるいわ、)
顔がいいだけよ、と自分に言い聞かせているものの
降谷くんの柔らかな微笑みは、
元詐欺師の私から見て
決して偽りの笑顔なんかじゃないことが
分かってしまった。
「で?……デートにでも誘うのかしら」
「近くに出来た大型ショッピングモール、
お前の好きなブランドが入ってるそうだ」
早く乗れ、と助手席のドアを開けた降谷くんは
私が断るつもりなどまるで考えていないような
余裕っぷりであった。
はあー……、とたっぷりのため息を彼に向けて
吐き出してから「行ってあげる」と笑った。
......................................................
「似合ってるんじゃないか?」
新品独特の匂いに包まれながら
ブランド物の服を着た私を、
降谷くんは顎に手をやり頭から足先まで
じっくりと見てからそう言った。
決して適当に言ってるわけではないことに
気付きながらも、「あのね…」と真剣な顔を
している降谷くんに向かって指を指した。
「アナタ、さっきから
ずっとそのセリフばっかじゃない。
歴代ターゲットでももう少し捻ってたわよ!」
「本当に似合ってるんだから仕方ないだろ」
彼が選んだ服を試着する、
そして私の反応をご自慢の洞察能力で伺ってから
少しでも気に入った素振りを見せてしまうと
店員に「すみません。これもお願いします」と
安室透スマイルで服を渡す。
この一連の流れを繰り返して午前が終わった。
(……)
2708人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「名探偵コナン」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
休校 - 半端じゃなく、面白かったです!笑 ありがとうございました! (2020年6月21日 17時) (レス) id: e4ab2b5df5 (このIDを非表示/違反報告)
ぱる(プロフ) - こんな素晴らしい作品を作ってくださって感謝しかないです…!ストーリー構成が完璧で、赤井さんのシスコン具合も最高だし、なにより、主人公のキャラが好きです…!!!大好きです!ほんとにありがとうございます!! (2019年12月18日 20時) (レス) id: 7131cab108 (このIDを非表示/違反報告)
てな(プロフ) - 四皇子さん» ありがたきお言葉…大感謝感激祭です… (2019年2月4日 12時) (レス) id: 46f0755694 (このIDを非表示/違反報告)
てな(プロフ) - たんぽぽ珈琲さん» わー嬉しいです!!気に入っていた作品なのでありがたいです〜(*゚▽゚) (2019年2月4日 12時) (レス) id: 46f0755694 (このIDを非表示/違反報告)
四皇子 - 500評価から501評価にしてしまった、罪悪感、、 (2019年1月31日 16時) (レス) id: 3e09273f36 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:てな | 作成日時:2018年7月8日 14時