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第十七話 ページ17



furuya side



「あのクソガキ……」



品の悪いスラングをぶつぶつと呟きながら
隣を早足で歩く彼女を、
ため息をついて見下ろしていた。

作戦は失敗。だがサンライズは何故か持ち主の所へ
しっかりとお届けされており、
大富豪のアメリカ人は
大事に大事にそれを手にして泣いていた。




だが、このFBI捜査官だけは余程屈辱的だったのか
他の警備員が撤退をしてもなお
ぶつくさと文句を言っていた。






「………僕は先に帰ってるからな。
お前も明日は早いんだから、
大人しく帰っ……!?」







ガッと腕を強く掴まれて、
「何言ってるわけ?」と上目で睨まれた。
ずくん、と撃たれた足が痛む。






「手当してあげるわよ」



「…これぐらい、自分で処置出来る」



「どうせ家に帰ったら寝落ちするでしょうアナタ。
そのまま出勤するのが目に見えてるんだから」



「………」





分かったらさっさと座って。と
近くにあったベンチに座るよう促され、

渋々とそこへ腰を下ろせば
「おりこうさん」と彼女が微笑んだ。





「………隠してるつもりなのかもしれないけれど、私が来た時もアナタは足を怪我していた。

……まだ完全に治ってなかったようだし
今回のでまた回復が長引くと思うから、
しばらく無茶はダメよ」




「………!、……気付いた、のか」






確かに、Aが公安に来た時、

俺はとあるグループとの交戦で
部下を庇い足を負傷していた。

それを知っているのは風見だけで、
気付いたのは恐らくAのみ。





「ばかね、まだ治ってないのに……」





あの後逮捕された覆面男二人についての事情を
コナン君が話してくれたみたいで、
「安室さんは僕を庇って…」と
申し訳なさそうに話している所を見てしまった。




する、と裾を捲り上げて
止血を終えたAが包帯を取り出した。

手際の良い作業をする彼女をぼー、と見ていれば
夜の静寂にAの柔らかな声が響いた。







.








「…探しに来てくれたのね
…………嬉しかったの。ありがとう」









「………、…」









彼女に電話が繋がらない時。
咄嗟に足が動いてしまっていた。

心配でならなかったから、





ふにゃ、と目も合わさずに
ぎこちなく笑みを零したAの顔を見て、









.








「____…好きだ」









気が付けば、俺の口からは
そんな言葉が零れ落ちていた。

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休校 - 半端じゃなく、面白かったです!笑 ありがとうございました! (2020年6月21日 17時) (レス) id: e4ab2b5df5 (このIDを非表示/違反報告)
ぱる(プロフ) - こんな素晴らしい作品を作ってくださって感謝しかないです…!ストーリー構成が完璧で、赤井さんのシスコン具合も最高だし、なにより、主人公のキャラが好きです…!!!大好きです!ほんとにありがとうございます!! (2019年12月18日 20時) (レス) id: 7131cab108 (このIDを非表示/違反報告)
てな(プロフ) - 四皇子さん» ありがたきお言葉…大感謝感激祭です… (2019年2月4日 12時) (レス) id: 46f0755694 (このIDを非表示/違反報告)
てな(プロフ) - たんぽぽ珈琲さん» わー嬉しいです!!気に入っていた作品なのでありがたいです〜(*゚▽゚) (2019年2月4日 12時) (レス) id: 46f0755694 (このIDを非表示/違反報告)
四皇子 - 500評価から501評価にしてしまった、罪悪感、、 (2019年1月31日 16時) (レス) id: 3e09273f36 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:てな | 作成日時:2018年7月8日 14時

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