【名探偵コナン】プリンスはマドンナが好き【降谷零】

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furuya side



(…まさか、子供に正体がバレるなんてなぁ…)



お皿を拭きながら小さくため息をついた。

ここ数日ろくに睡眠も取れていないのだ、
気を抜けば欠伸さえ零れてくる始末。


江戸川コナンくんはどうやら自分が組織のノック
つまり潜入捜査員ということを見抜き、

更には公安の機密組織ゼロに所属していることも
全て彼自身が突き止めたのだ。

なんて恐ろしい子供なのだろう。




「＿＿＿安室さん…？、…最近元気ありませんね」


「へ？…あぁ、まぁ……」




そんな事とは別に、今俺は
重大な悩みを抱えつつあるのだ。

そして、それは勿論
誰よりも大切な彼女のことである。




(………、…一段と俺に冷たくなったな)




なんというか、前までは
…こう…愛のある拒絶だった。
降谷なんか好きじゃないんだからねっ的な。

だが、ある日を境に一変して
彼女は俺とバッタリ事件現場で遭遇した時、
俺の目を意識して見ようとせず
会話も全て無視したのだ。

更には腕を掴み引き止めても。



『………、…離してください』



と、顔を歪め泣きそうな顔でそう呟くだけ。

当然刑事部の連中は我がマドンナに
そんな顔をさせる輩を目の敵にしないわけがなく、
しばらくは事件現場で白い目を向けられ続けた。




(……やっぱり、怒るよなぁ)




自分が幼い頃から大好きだった人の死を、
自分だけ何も知らず
のうのうと生きていくだなんて。

俺だったら怒る。


けれど、俺はAに
そんな顔をさせたくなかったばかりに
あの選択をしたのに、




「………、…結局…ダメだったよ」




誰もいないカウンター席に
人知れず呟いても返事はない。

Aの顔を晴れさせてくれる唯一の男は
もう随分と前に天国へ旅立ってしまった。





(………、…謝りたい)





失礼な事をした、悪かった。



そう謝りたいのに、彼女は
もう俺を視界にさえ入れてはくれないのだ。

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