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furuya side



「今日はゆっくり自宅で休んでいて下さい」



ようやくあの拘束から解放され
仕事に取り掛かろうとした瞬間、
書類を取り上げられた。

気のせいか般若のような顔をしている風見に
「わ、分かった…」と告げて
仕方なく切り上げてきたのだ。




「……、寒いな」



駐車場に降りてくれば、
冷たい風が首元をくすぐった。

鼻を啜りながら愛車へと向かう途中
「っくしゅ」と可愛らしいくしゃみが耳に入った。




「…………、」




勿論、聞き間違えるはずがない。

即座にUターンをしてしゃがみ込んでいた彼女に
「何をしているんだ、」と声をかければ
はー、と手のひらに息を吐いたAが顔を上げた。




「………馬鹿、遅い」


「………あのな」


「うるさい、馬鹿…ばか降谷」




子供のようにバカバカと繰り返してくる
Aに首を傾げていれば、

Aが背中に回した手に持つ何かが
偶然にもチラリと見えた。




「……何だよ、それ」


「あっ」



手を伸ばそうとすると
Aが小さく声を漏らして
身体ごと後ろへ後ずさってしまった。




「見せてくれないのか?」


「………、」


「…A、?」




名前を呼ぶと、ようやく観念したのか
顔を上げてずんずんとコチラに近付いてきた。

いや、………それにしても、近すぎやしないか。




「っ、………え」




頭一個分ほど下にある彼女の目が
俺を上目で捉えてから
ばさ、と何かに顔が覆われた。


もふり、とした感触に目を見開いている
俺を置いたままAは無言で
それを俺の顔から首にかけて雑に巻いていく。

むに、と胸元に柔らかなものが当たり
「A、…おい…」と
彼女に呼びかけてみるも見事に無視。

頼む。当たっているんだ。


なんとか悶絶しながらも耐え
俺に白いマフラーを巻き終えた彼女が
不意に俯いたままこんな事をぽつりと呟いた。






「………、…ごめんね」






それは、Aから言われた

初めての謝罪であった。

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てな(プロフ) - あるさん» 返信大変遅くなりすびばせん!!!!!某ヒロア…からお借りしました(小声)大変嬉しい限りです!ありがとうございます〜(゜▽゜) (2019年1月19日 1時) (レス) id: 148a377828 (このIDを非表示/違反報告)
ある(プロフ) - 今絶賛読んでいる途中なのですが、とぉっっっっっても面白いです!!!ピザーラ銀座店です。の所、どこかのヒーローアニメと似てたような…あとそれの敵の反応も…あ!勘違いですね!はい← てな訳ですんごい面白いです!以上! (2018年11月17日 17時) (レス) id: 24dd2edea5 (このIDを非表示/違反報告)
てな(プロフ) - 輪廻さん» ひぇー!キュンキュンしていただき感謝でございます…(´∇`)コメントありがとうございます!! (2018年8月11日 14時) (レス) id: 46f0755694 (このIDを非表示/違反報告)
輪廻(プロフ) - 完結おめでとうございます!この作品ほんっとに好きで、完結したのが嬉しいやら寂しいやらで最終話読み終えた瞬間1から読み直しました笑何度読んでもめちゃくちゃキュンキュンしました!お疲れ様です!これからも応援してます! (2018年8月9日 21時) (レス) id: d5ec128220 (このIDを非表示/違反報告)
てな(プロフ) - Ha_3さん» 番外編なんとか入れたかった…最後くらいデレさせたいと頑張ってみましたw最後まで読んでいただきありがとうございます! (2018年8月9日 0時) (レス) id: 46f0755694 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:てな | 作成日時:2018年7月29日 12時

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