【名探偵コナン】マドンナはプリンスが嫌い【降谷零】

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…




「………降谷さん、どうしたんですか」


「……………ちょっとな」



ざわざわと俺の顔を見ては騒ぎ
ガタガタ怯える部下達の代わりにと

風見が勇気を出してわざわざ聞いてくれた
その質問にそう返すと、赤く腫れた頬が痛んだ。




(思い切りやられたな、…すっかり忘れてた)




彼女がこの世で1番嫌いな生命体は俺なのだ。


その俺に両肩を強く掴まれたまま
訳の分からないことをブツブツと言っていれば、
そりゃ怒るだろう。



そしてAは景光よりも、俺よりも喧嘩は強い。

力は男女差もあるのだろうが、
その力の差を利用した戦法を使ってくる彼女に
何度クラスの男子が泣かされたか。

ちなみに成敗されたクラスの男子は
景光の陰口を言った奴だったり
景光に危害を加えようとした奴だったりと、

やはり景光を軸に彼女は生きているらしい。




そんな怪力美女に頬をバチン！！！と
盛大にひっぱたかれた後、
彼女は「もう！！」と俺の手を引き
車の外に追い出してからこう続けた。



「＿＿＿とにかく私はアンタが嫌いなの！
金輪際いっっっさい、私に近寄んないで！！」



チィッッッッ！！！！！と犯罪者のお手本のような
豪快な舌打ちを俺に吐き捨て

「梓さんには 金髪ゴリラにより
気分が悪くなったため帰宅します。
って伝えとけバカ！！！」と付け加えてから

警視庁のマドンナは
愛車をぶっ飛ばして俺の元から去っていった。





(………恐ろしい女だ、)





ああも露骨に"嫌い"と
言ってくる女は初めてだった。

顔も整っている方だと自覚はしているし、
性格もさして悪目立ちする箇所はない。多分。

潜入捜査で何処ぞのパーティに出席すれば、
「少し……酔っちゃったみたいなんだけど」と
見知らぬ女に声を
かけられることも少なくなかった。


勿論丁重にお断りするが。





だがしかし、そんなことは今重要ではない。






「………怒っても可愛いんだよな」


「……ふ、降谷さん…？」






俺に怒っている時だけは、
彼女の瞳に俺という存在しか映っていない。

だから怒られようが嫌われようが、
彼女のことが愛しくて愛しくて仕方がなかった。





それほどまでに彼女にメロメロな俺は

どんな罵詈雑言を浴びせられようが、
「やっぱり好きだな」と
再自覚させられるという事に過ぎないのだ。






「あ゛ぁー…………、…好きだ………」






いつからこんなドM野郎になってしまったんだか。

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