【名探偵コナン】マドンナはプリンスが嫌い【降谷零】

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furuya side



バン、なんて可愛い擬音ではなかった。

顔面の横に置かれた彼女の拳から
ドゴッと重たい破裂音が鳴る。

壁ドンじゃない。壁ドゴだ。




「っどういうつもり！！
なんで潜入捜査なんかしてるの！？
ついでにさっきのアレはなに？冗談じゃない！！」


「お、落ち着けって……」




Aが至近距離で俺の顔を睨み上げる。

どうやら俺が今壁ドゴされているのは
彼女の車内らしく。いつかのように
後部座席に放り込まれた、というか投げられた。


相変わらず俺のことが余程嫌いなのだろう、

さっきまでの可愛い笑顔の面影が見えない
般若面のようなキレ顔で睨んでくるAに
苦笑して、痛む腰を擦る。



そして、ふと彼女の細い指に嵌められた
小さい指輪が目に入った。




(……ミステリートレイン…！？)



確かに彼女の指に嵌められているのは明日
俺も乗車するミステリートレインのパスリングだ。

「っこれを何処で手に入れた！！？」と
思いっきり話題を逸らした俺に
「あ゛？」とため息混じりに零す彼女。

恐らくこの地球上で俺にそんな態度をとっても
蹴り飛ばされないのはこの女だけなのだろう。

他の女だったらとっくに足が出てた。



「怪盗キッドの警備のために…
一応乗客として乗り込むよう言われたの。
……今は関係ないでしょ」


「明日、ミステリートレインに乗るな」


「な、なに…」



俺の威圧に怯んだのか、若干腕の力を弱めた
彼女の両肩を掴み「とにかく明日は駄目なんだ、」
と繰り返し忠告を促す。


なにしろ明日のミステリートレインでは、
宮野志保ことシェリーを処理するという
組織での任務がある。

話ではベルモットやウォッカ、ジンまで
作戦に姿を現すとのことだ。

彼女をそんな危険な場所に
放り込みたくはない、絶対に。




「降谷？……ちょっと…」



知り合いであることがベルモットにバレでもしたら、今後彼女は俺のせいで監視対象として見られることも有り得る。命を狙われる可能性も。




「………ねえ」




更に明日のミステリートレインは先日届いた
怪盗キッドの予告状によって走らされる。

警察である彼女がもし
キッドと交戦することになれば、
否が応でも組織の幹部共に名を知られる。

なるべく組織から彼女を遠ざけておきたい。
俺と彼女が幼馴染だなんて情報が漏れれば
今までの潜入捜査の苦労がパーだ。






「………人の話を…」

「ん？」




「聞けよバカゴリラ！！！！！」

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