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「離して!!やだってば…」


「ちょっと、じっとしててください」



高木刑事やらが走り去ったあと、
同じく逃げ出そうとした彼女の腕を掴み
ズルズルと店外へ連れ出した。

幸い潜入のバイトはこれっきりなので
帰っても問題は無いだろう。


駐車場に停めてある自身の車にAを放り込んで、
俺も後部座席に乗り込み
ドアをバタンと閉めれば、

彼女が即座に反対側の窓の方へ後ずさった。




「……あのな、何もそんな怯えなくても」


「怯えてない」




認めたくないのか。はたまた
怯えてるというよりは威嚇していると言うべきか。


彼女はさっきから俺の目を見ようともせず、
少し伸びた髪で顔はよく見えない。

俺があげたマフラーに
口元を埋めているのが見えて、
少しばかり胸が高鳴った。



「なに、安室透って。警察やめて
探偵さんにでもなったの」


「違う。………いいから
こっちを見てくれないか?強引に俺が
車に連れ込んだみたいじゃないか」


「何一つ間違ってませんけど」



俺の言葉にようやく顔を上げてくれたAの顔は、
相変わらずぶっすりと不機嫌そうで
不覚にも少し笑ってしまった。



「俺は正真正銘降谷零だ。…今は潜入捜査で
毛利小五郎の弟子入りをするために
私立探偵の安室透をしている」


「………そんなの、信じると思ってる?」



確かに漫画やドラマみたいな話だが、
こっちもトリプルフェイスなんてことを
やっているのだ。信じざるを得ない。




「…………ほんとに、降谷なの?」



「そう言ってるだろ、」




高木刑事とやらに見せつけるため
わざとハートマークまで付けて甘い声色で
彼女の耳元にわざと囁いてあげたわけだが、

彼女にとっての降谷零のイメージとは
かけ離れすぎていたようだ。


持っている鞄を抱き締めるように
自衛の姿勢を取っていた彼女が、
おずおずと俺の顔を見て不安そうな顔を見せる。




(………そんなに見つめられると、困る)




10年以上も彼女に会ってなかったというのに、

こうして会話をするだけで
ドギマギとしてしまう俺は、

変わらず彼女に恋をしているのだ。

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てな(プロフ) - amroさん» ありがとうございます…頑張って治したいです(;ω;) (2018年7月27日 8時) (レス) id: 46f0755694 (このIDを非表示/違反報告)
てな(プロフ) - ゆずさん» ありがとうございます…(´;ω;`)早く治したいです… (2018年7月27日 8時) (レス) id: 46f0755694 (このIDを非表示/違反報告)
amro(プロフ) - てな様 お風邪大丈夫ですか!? 無理せずゆっくり治して下され。お大事に。 (2018年7月27日 0時) (レス) id: 18748080be (このIDを非表示/違反報告)
ゆず(プロフ) - 大丈夫ですか?!風邪お大事に(´・_・`) (2018年7月26日 22時) (レス) id: ba18e17bc2 (このIDを非表示/違反報告)
てな(プロフ) - amroさん» はじめまして!コメントありがとうございます〜!一生懸命考えて照橋風のヒロインちゃんが出来上がりました…降谷さんがんばれ!!って感じにしたかったのでこの関係性自分も気に入ってます(*´∀`)応援大感謝です…! (2018年7月25日 13時) (レス) id: 46f0755694 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:てな | 作成日時:2018年7月21日 18時

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