公安の狙撃手と ページ34
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「風見があれ程待っていろと
言っていたのを聞いていなかったのか?
それに無謀すぎる勇気は
身を滅ぼすと前にも言ったはずだ
お前の軽率な行動で
死人が増える可能性だってあったんだぞ」
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零はその端正な顔を歪めてペラペラと口を開く
隣にいる偲が目に見えて狼狽えているのを見て、
居心地悪く顔を俯かせれば、
「目を逸らすな」と強引に顎を掴み上げられて
自然に蒼い瞳が視界に入った
「……、…早く来なかった零が悪い
…あそこで動かなかったら
この子は無事じゃなかった」
「そうにしても、風見の指示を
途中から無視する理由には繋がらないはずだ」
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ああ言えばこう言う、うんざりした気分と同時に
頭の傷やらがズキズキとまた痛み始めた
「ち、違うの透さん、Aさんは私を…」と
必死に仲介をする偲を、
零は無視してはぁ……、と呆れたように息を吐く
それがどうしようもなく怖くて、
ひくりと肩を揺らしてしまった
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「……、…もういい、大人しくしてろ」
ひょい、と私をお姫様抱っこで持ち上げた零が
踵を返して風見の元へと向かっていく
「零、降ろして…自分で歩くから」
「馬鹿言ってないでじっとしてろ、」
いい歳した大人がお姫様抱っこをされるなんて、
中々に恥ずかしい
しかも好きな人に
傷に触れないように私を抱え直す零が風見に
このまま病院へ送ってくる、と言って
私の瞳を見てはまた顔を歪めた
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それは、何処か泣きそうで、
気が付けば、ぎゅう
と私を抱き締めるように優しく包み込まれ
首筋に頬を押し付けられた
私の肩口に埋まる彼の顔色は見えないものの、
聞こえてきたか細い声は震えていた
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「……次無茶をしたら、そろそろ怒る」
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もう怒ってる癖に、
なんてことは言えなかった
彼の心臓はバクバクと鼓動をたてていて
私の心臓もドクドクと煩かったから
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「………、……馬鹿、馬鹿、ですね
……早く来てよ、」
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ようやく抜けた肩の力、
どうしようもない安堵と恐怖が
一気に噴き出してきて
きゅ、と彼の服を弱々しく握りしめた
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真白(プロフ) - 夢主ちゃん可愛い (2023年4月30日 19時) (レス) @page42 id: 1bd364c53c (このIDを非表示/違反報告)
ミコト(プロフ) - 素敵なお話ありがとうございます^o^惚れましたぁぁぁ/// (2019年8月29日 13時) (レス) id: 47f303260b (このIDを非表示/違反報告)
てな(プロフ) - おだんご@白石大好き♪( ´▽`)さん» わぁあありがとうございます!初のコナン小説だったので拙い所だらけでしたが…(´∇`)後日談とかもぜひ書いてみたいと思っている所です! (2018年6月3日 22時) (レス) id: 46f0755694 (このIDを非表示/違反報告)
おだんご@白石大好き♪( ´▽`)(プロフ) - とっても面白かったです!!図々しいですが、続きがみたいです。(>人<;) (2018年6月3日 22時) (レス) id: 2611ccec3a (このIDを非表示/違反報告)
てな(プロフ) - ちー@政宗最推しさん» あっー!すみませんw直してきます!楽しみにしてくれるなんて嬉しいです…!>< (2018年5月27日 21時) (レス) id: 46f0755694 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:てな | 作成日時:2018年5月26日 15時