公安の狙撃手9 ページ30
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「……、…また、お決まりな…」
発信機が示した場所、それは5階建ての廃ビルだった
空は薄暗く、陽の光も入らず視界も悪い
足音を立てずに階段を上がり、
僅かな蛍光灯の光が漏れている部屋を覗き見た
私一人、それも狙撃手である私が
単独で近接戦闘は無謀だと、
自分でも分かっている
けれど今自分が動かなければ、
そう思いを巡らせていれば、
中から悲鳴のような叫び声が聞こえてきた
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「やめて、パパのことなんか知らない…!」
「嘘をつけ、…お前の父親は
俺らのグループを裏切った、
わるーい犯罪者なわけ
…てか、まだ出ねぇのかよ」
耳をすましていれば、
彼女のスマホからはコール音が響いている
椅子に拘束された偲の頬には
殴られたような傷跡があった
さっきの悲鳴はコレが原因か、
インカムからの応答はない
けれど、一人で突っ込んでいけば
零からのお説教は避けられないだろう
当然危険な行為だからだ
コナンが連絡してくれたはずだし、
緊急と言えば駆けつけてくれると思ったが
考えてみれば場所も敵についての情報も
何一つ知らせていなかった
来たくても来られないだろう
「(…、……数はざっと見て20人以上…)」
広々とした部屋の隅々に
配置されている男共は、皆屈強な大男だ
恐らく日本人じゃない
グループの主犯格と思われる男は、
偲のこめかみにグリグリと
銃口を押し付けて笑っている
「……胸糞が悪い、」
小さな呟きは、
誰にも拾われることなく消えていった
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「可哀想にな、娘が脅されてるっていうのに
ビビって電話も出てくれないなんて」
「………、…パパとは全然話さないもの
…それに、すぐに誰かが助けに来てくれる」
例の金髪の男か?、とケラケラ笑う男に
物怖じせず「そうよ、」と断言した偲
握った拳銃の引き金に人差し指を置き
インカムから聞こえてきた
風見の怒鳴り声をぶちりと切って
彼女の震えた拳をじっと見ていた
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真白(プロフ) - 夢主ちゃん可愛い (2023年4月30日 19時) (レス) @page42 id: 1bd364c53c (このIDを非表示/違反報告)
ミコト(プロフ) - 素敵なお話ありがとうございます^o^惚れましたぁぁぁ/// (2019年8月29日 13時) (レス) id: 47f303260b (このIDを非表示/違反報告)
てな(プロフ) - おだんご@白石大好き♪( ´▽`)さん» わぁあありがとうございます!初のコナン小説だったので拙い所だらけでしたが…(´∇`)後日談とかもぜひ書いてみたいと思っている所です! (2018年6月3日 22時) (レス) id: 46f0755694 (このIDを非表示/違反報告)
おだんご@白石大好き♪( ´▽`)(プロフ) - とっても面白かったです!!図々しいですが、続きがみたいです。(>人<;) (2018年6月3日 22時) (レス) id: 2611ccec3a (このIDを非表示/違反報告)
てな(プロフ) - ちー@政宗最推しさん» あっー!すみませんw直してきます!楽しみにしてくれるなんて嬉しいです…!>< (2018年5月27日 21時) (レス) id: 46f0755694 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:てな | 作成日時:2018年5月26日 15時