花巻君が心配 ページ9
「花巻君！？頭大丈夫！？」
「悪口かと思った」
部活に現れた大きなたんこぶを作った花巻君。
問題ナーシと頭の上にあるたんこぶを擦りながらピースしてくる花巻君は本当に気にしてなさそうだけど、割と引くレベルの大きさで心配。頭だし、大怪我になったらかなりやばいよね、それ。
「冷やした方がいいよ…私保冷剤持ってきてあげる！」
「Aにそんな事されたらまたやられる」
「やられる！？」
誰に！？誰にやられたの！？大人しく吐いて！とガクガク揺さぶっても『我々には黙秘権がある』の一点張りで教えてくれる気配がない。我々ってどなた方！？そんな、こんな大きなたんこぶ作るほど激しい拳なんて岩泉君しか知らないよ…でも岩泉君はそんな事しないんだろうし……そもそも私の知らない部外の人？
「辛くなったらすぐに言ってね？…ていうか昨日はそんなのなかったよね？どこのタイミングでやられたの？」
「強いて言えば…んや、やっぱノーコメント」
「花巻君！」
「A」
げぇっなんて呟いて花巻君はそそくさと他の部員達の輪の中に消えていく。代わりのように後ろから声をかけて来たのは松川君だ。
「一緒に部活行こうと思ってたんだけど」
「うぇ！？そんな気使わなくて全然…」
「行きたかったんだけど」
教室を出る時松川とはまだ掃除当番で中に残っていて、でも一緒に部活に行くなんて約束もしてないからなあと一足先に体育館に来てネットの張り方を2年生たちに教えて貰ったり、怪我の手当をさせてもらったりしてたんだけど…そっか、そんなに圧かけて言うくらいなら明日から…ん？明日？
「そ、それはゴメンなんだけど、私もう今日でマネージャーはおしまいだし！」
「なんで？」
「何でもなんもないよ！昨日は及川君がお菓子買ってくれるって言うから…釣られちゃっただけで……」
「今日も奢ったら来てくれる？」
「来ないよ！可哀想だよ！」
あの量の散財を繰り返していたら本格的に及川君の所持金がなくなってしまう。ここ2日間の仲で破滅まで追い込むなんてそんなおこがましい事…お菓子はいっぱい食べたいけど…いやでも太っちゃうし……
「まっつ〜ん！イチャイチャしないで！練習するよ〜」
「ほら松川君、みんなのところ行って！」
「う〜ん？」
「頑張って！私もあれ持ってこなきゃ、えっと…ピプス？」
「ふは…ビブスね。」
早く覚えてねマネージャーさんと私をからかって松川君は去っていく。
「次までに覚え…って！次とかないし！」
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作者名：さばぬき | 作成日時：2023年3月9日 15時
