正式入部は絶対No! ページ5
皆さんこんにちは。今私、俵屋Aは体育館裏でバレー部のスポーツドリンクを作っています。なんでって?そんなのこっちが知りたいんだけどね!
カゴいっぱいにボトルをギュウギュウに敷き詰める。
「えーっと…みんな、さん!!休憩準備出来ました!」
そういうとみんなはワラワラこちらに近づいてきて私からスポーツドリンクを奪っていく。ああ無常。
「Aちゃんお仕事上手いね〜」
「え、そう…ですか?かな」
「緊張してるの?」
そりゃ及川くんみたいな美形に顔覗き込まれて緊張しない女なんて世にいないよ。私みたいな平凡な女は尚更…
「大丈夫大丈夫!みんないい子ばっかだし」
「強いて言えばコイツがしょうもないことくらいだな」
「ちょっと岩ちゃん!?」
「気つけろよ」
ドンッと及川君の後頭部を殴りつけながら声をかけてくれたのは岩泉君。ふふ、ちょっと面白い。
男の子と関わったことなんてあんまりないから新鮮だ。それが運動系の明るい人達となれば余計に。
「た、俵屋さんっ」
「何?」
前髪をちょいちょいと整えながら話しかけてきたのは、確か…2年の矢巾君。私の目をチラチラ見ながら何かを言いたげにしている。…もしかしてスポドリ不味かったかな?先代のマネージャーさんが残してくれたらしいノートを参考にしてみたけど、やっぱりいっつも部員さんが作ってる方が美味しかったのかも……
「なんか悪いことした…?まずい、まずかったよね……あんなトーシロの作ったドリスポ……」
「え?あ、いやっ、違くて!そのっ、俵屋さんこれからマネージャーになってくれるんですか!?」
「え?」
「先輩達が俵屋さんがマネージャーしてくれるって……で、でも金田一、あ、あのらっきょ頭は臨時だって言ってて!俺、た、たたっ…俵屋さんがこれからもマネージャーになってくれたら嬉し─────」
必死に熱弁してくれてる矢巾君の背後には、ニヤニヤと悪い笑みを浮かべてる松川君。あわあわと遠巻きに私達を見ているのは金田一君。特に何も考えてなさそうな顔でスポーツドリンクを飲んでいるのは、誰だっけ?
「どっ…どういう「え!Aちゃん正式に部に入ってくれるの!?」
嬉しいよ〜!と笑いかけてくる及川君に私は上手く笑えていたでしょうか。きっと、酷い顔をしていたと思います。
6人がお気に入り
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:さばぬき | 作成日時:2023年3月9日 15時