怒らないで ページ12
「あばばばばば花巻君…」
「うぉ!?」
顔を青白くした私に驚いた花巻君がどうした?と尋ねてくる。どうしたもこうしたもないんです、怖い松川君がすぐそこまで来てるんです。
「ちょっとだけ匿って!」
「匿って?」
事の発端は私が松川君の約束を破って先に部活に行ってしまった事で。でもそれだって仕事を沢山覚えるためなんだよ?悪気があった訳じゃなくてっていうか!そもそも掃除がない日に一緒に…いや来週からはマネージャーしないし!
「と、ととにかく不可抗力で抗えなくて…わ、私無罪なの!」
「よく分かんねえけど…とりあえず俺の後ろに隠れろ!」
「YES!花巻君ありがとうっ!」
「よっしゃ!」
…私そんなに細いわけじゃないし隠れられる?
物は試しだと花巻の背後に回って、少しでも擬態できるようにびったりと張り付く。ちょっと嫌かもしれないけど許してね。
「おっ…」
「ごっ、ごめん…すぐ離れるから…」
ギリっと顔を歪めた花巻君に申し訳なくなる。ごめんね、彼女でもないのに…だってこれも生きるためだし!
「なんか顔赤くない?大丈夫?」
「………………うわあ」
「国見君その顔やめて」
不気味な物を見るような目で睨んでくる国見君に睨み返しながら必死に隠れていると、向こうから完全な負のオーラを醸し出す松川君がやってくる。
お願いだから気づきませんように…!
花巻君の前で足を止める。
「なーにしてんの、A」
「ヒ!?」
やっぱり私、隠れられませんでした。
お菓子なんて食べなきゃ良かったな、なんて…そんな数日前の怠惰が原因じゃないだろうけどさ。
「私、誘われて、えと、あの!!!誘われたから!」
「へぇ?」
「語弊を産みそうな言い方やめてくれませんか」
「俺関係ないからな!?」
だからちょっと、その怖い顔だけは勘弁してください!
「ごめんね花巻君」
「部活帰りシュークリーム」
「お易い御用で……」
こんな短い期間で2個もたんこぶ出来たの初めてと頭を擦る花巻君を見て私も思わず自分のおでこを撫でてしまう。
痛かったな、松川君の本気のデコピン。
「結局俺怒られなかったんで良かったです。お疲れ様でした」
「国見ィ…」
国見君と金田一君の先生お達しで先に行ってしまったことは松川君もあんまり怒っていなかった。だからといってじゃあ何に怒ったの?と聞かれればさっぱり分からないままなんだけれど。
『不用心』すぎか…別に、そんなに危ないことしてなかったと思うけどな。
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作者名:さばぬき | 作成日時:2023年3月9日 15時