【HQ】マネージャーなんかやりません (ページ11)

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松川君の機嫌が悪くなる5分前ページ11

金曜日、朝、教室。私は松川君の威圧に圧倒されていた。

「それで丸め込まれたんだ」

「丸め込まれたっていうか…なんていうか…」

「及川の話は2割聞くくらいで良いって言ったよね」
「あい…」

全部が全部嘘ってわけじゃないと思うんだけどな、私。
あのあと必死のお説教をしたし、本人だって仕事は二軍の人達がやってくれるって言ってたけど…一応みんなバレーやりに来てるわけだし。
私が裏方の用事を済ませてあげた方が良さそうだもん。

「お、及川君、試合1年生たちに見せてあげたいんだって！マネージャーは雑用とか仕事だし、ちょっとだけならいいかなって」

「俺がお願いしても断ったじゃん」

「それは話が別〜」

私の言い訳にムッと眉をひそめてるけど、及川君の説明と松川君の説明じゃ全然事情が違うからね？
お菓子を奢ると他校のマネージャーさんの負担を減らすじゃ響き方が天と地ほどの差だよ。

「Aが来てくれるなら、ま、なんでもいいか」

ふっと微笑んで前を向く。なんでそういうことさらっと言っちゃうかな…1時間目始まるのに集中なんて出来そうもないんですけど…

真剣に古文の授業の板書取る横顔を眺める。
バレー部って人たらししか居ないの？そりゃ女の子がキャーキャー騒ぐわけだよ、あんなに全員から優しくされたらファンにもなるよね、うんうん。3年生の人達は及川君より岩泉君に恋してる人の方が圧倒的に多いけど。

「っし…！」

土曜日と日曜日にも練習があって、月曜日はお休みの日なんだよね？あと3日間、仕事を覚える機会があるのは2日間…気合いを注入するためにパシっと両頬を叩く。

今日も入れて4日間、マネージャー頑張ります！

「あ、いた。俵屋さん！」

「ん…金田一君？と、国見君」

「俺ら、俵屋さんに基本の仕事教えてやれって頼まれてんです。早く終わらせたいんで着いてきてくれませんか」

「いいの？ありがとう…あ、でも、今日松川君と約束してて」

「松川さんと？それ、今度じゃダメですか」

「えっ」

「3年の階まで行くなんてこの1回で終わらせたいんですよ…同じクラスなんだから大人しくこっち優先してください」

「国見！そんな言い方失礼だろ！」

「いいのいいの！確かに次の部活から一緒に行けばいい話だもんね。大丈夫！」

「あざーす」

「国見君、顔」

1つも感謝してなさそうと指摘すると全く感情の篭っていない声で謝られる。そういう所だよ国見君。