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「やった、ね」
「ツナ!」
そう言ってとげははにかんでピースした。
呪霊探しを再開しようと、歩き出した、その時。
濃い、呪霊の気配。
前方、木の後ろ、いる。
「と、げ」
「こんぶ…」
ザッザッと地面をふむ音が段々と近づいてくる。
とげは口元のファスナーに手をかけて、私も何時でも構築できるように構える。
「!!」
そして出てきたのは呪霊。
二級呪霊じゃない、それより、もっと強い。
でも、なんか、様子がおかしい。
木の影から姿を表したその呪霊は、ぐりんと白目を向いて首が吹っ飛んだ。
その呪霊の後ろから、大きな、大きな気配。
今まで感じなかったそれは、洗練された禍々しさを持っていた。
《あれ、2人ですか》
「しゃけ、いくら、明太子」
音ではなんて言ってるかわかんないのに、頭では理解出来てる。それがなんだか気持ち悪い。
とげは口元のファスナーを開けて、私を背後に庇う。
そんなとげの横にたつ。もう私は守られるだけじゃない、そういう意味を込めて、とげを見る。
「明太子」
「うん……行こう」
波乱の幕開けだ。
「
百虎は金を司る。
金属を短刀の形に構築する。
普通の構築術式は、1度作ったものは消えない。
けれど、私の術式は私の意思で消すことが出来る。
炎や水や木とか、消せないと困るものも多いしね。これが、私の術式がよく分からない理由のひとつでもあるけれど。
私たちに向かって伸ばされた木を走りながら避けていく。
この呪霊、この前さとるが似顔絵を見せてくれたものだ。頭のつの?みたいなのが同じ。
ということはこの呪霊、特級なんだ。
「"と ま れ"」
とげがそういうと、呪霊の動きが止まる。
とげの呪言は対呪霊に特化したもの。
それでも呪霊がとげの呪言の対策法に気づいてしまったら意味が無い。
とげが動きを止めている間に、私が相手の体力を奪わなきゃ。
私に出来る?そんなこと。
ちがうよ、やらなきゃいけないんだ。
もう、誰も失わないために。
「
私の術式に根深く関係する五行説には、
相生とは相手を生じる関係
相剋とは相手を抑える関係
つまり五行説において今の戦いでは、相手が使う木は赤帝の使う火を生み出し、私が今構築した金は、木を抑制する関係を持つということだ。
どこまでやれるかは、私次第だ。
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作者名:さんめーとる | 作成日時:2021年3月8日 18時