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物語に出てくるヒーローは、いつだってピンチになった時に颯爽と現れて、みんなを助ける。
明るい笑顔で諦めない、最後の最後には勝ってしまう、そんな物語のヒーロー。
ゆうじはヒーローだ。
前も、今も私たちを助けてくれた。
「俺もいるぞ、A」
「ぁ、おい」
まきを抱き上げたあおいがそう言う。
その手にいるまきは気を失ってるみたいで、ピクリとも動かなくて、その姿を見て、心臓がドクドクと早く鼓動した。
死んでは、無い…よね、まき生きてるよね?
この気持ちは知ってる。焦りとか不安とか。
今までだって沢山感じてきたから。
怪我のせいでぼーっとする頭の中をぐちゃぐちゃした感情が渦巻く。
「A」
そんな時、ゆうじが私の名前を呼んだ。
顔を上げるとゆうじと目が合って、ゆうじはにっこり笑っていった。
「大丈夫だ。真希先輩も、東堂も、伏黒も、俺も、他の皆も。だから安心しろよ」
その笑顔に、保証なんてないけれど本当に大丈夫なような気がしてこくりと頷いた。
「いけるか!?
「応!!」
「やめろ虎杖!そいつは俺たちでどうこう_ゲホッゲホッ…」
限界が近いのか噎せためぐみの近くに、2人は私とまきを運んでくれた。
「パンダ」
「あいよ」
いつの間にいたのか、そこにはパンダがたっていて、
私とまきを担ぎ上げた。
「3人連れて帳を出ろ。西宮曰くこの帳は対五条悟用で、俺たちは問題なく出入りできる」
「待て!いくらアンタでも…」
「伏黒」
めぐみの声を遮るようにゆうじが言葉を発した。
凛とした、辺りを揺らすような声だった。
「大丈夫」
私に向けた笑顔と同じ表情。
「気づいたようだな。羽化を始めた者に何人も触れることは許されない。虎杖は今そう言う状態だ」
「…次死んだら殺す!!」
「そんじゃ死ぬワケにはいかねーな」
めぐみもパンダに担がれて、私たちはその場を離れた。
「パンダーッシュ!」と言いながら走るパンダに揺られ、私の意識は段々と落ちていった。
次に目を開けた時、そこには私とさとるの目の色を混ぜ合わせたような茈が空に広がっていた。
それは恐怖すら感じるほどに美しかった。
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作者名:さんめーとる | 作成日時:2021年3月8日 18時