すれ違う気持ち ページ8
「あっそ。健人なんかほっといて。じゃあ
Aお昼に早速始めるからね！」
完全に亜梨沙を怒らせてしまって
なんだかバツの悪い俺は
ほとんど口を聞くことなく
昼飯の時間になった
亜梨沙とAはメイクに時間をかけるからと
翔と二人テラスで
さっきのことについて語り合っていた
「わかるよお前の気持ち。俺だって亜梨沙が大学入
ってから注目浴びてるといい気しないもん。まして
やお前の仕事柄人の何倍も注目浴びる仕事だしな。
お前のことずっと羨ましいと思ってたけど(笑)」
モテるって大変なんだな。
そう言ってアイスコーヒーを飲み干す翔。
だけど、俺の知る限り
亜梨沙と同じくらい翔もモテる
翔も大人びた亜梨沙に釣り合う
キリッとした顔立ちと
女ウケする甘いマスク
ただキリッとしてるのは顔だけで
亜梨沙に完全に尻に敷かれてるし
特に亜梨沙の前だと少し残念になるのが
こいつのいいところでもある(笑)
翔との時間で少しイライラした気持ちが
和らいでいた時
突然声をかけられた
「あの、健人くんだよね？」
そこには先輩らしき女の人たちのグループ
高校とは違って
デビューしたあとに出会った人たちは
完全に俺のことをアイドルの健人として見ている
話しかけてきた女の人をみたとき
これはファンの人の目だなってすぐにわかった
だから俺も変に仕事のスイッチが入っちゃって
「そうですよ」
なんて笑顔で答えてしまうのが癖になってる
大学では遠巻きにコソコソ噂されることはあっても
直接的に俺のファンとして話しかけてくる人は
以外に多くない
第一の目的が大学には勉強しにきているというのが
影響しているけど
大学はプライベートという
暗黙のルールのようなものがあるかのようで
あえて必要以上に話しかけてきたりしない
空気を感じていた
だけど久し振りに俺の返事の後に
その女性グループから大きな悲鳴が上がり
たちまち俺と翔の周りは
少し人だかりができてしまった
困ったなって思いながらも
適当にあしらうことができない俺に
女の人たちはここぞとばかりに近づいてきて
「今度合コンしませんか！？」なんて
翔までもさそって騒ぎ出した
そんな注目が集まる中
まさかAがそんな俺たちを
みてたことには気付かなかった
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作者名：莉梨 | 作成日時：2018年7月5日 2時
