会いたいのに ページ23
健人side
いつのまにか日差しが
夏を思わせるような午後
「大学の先輩として仲良くしてもらえないかな?」
想像以上に可愛い先輩の発言
やっぱりこんな人がファンでよかった
「もちろんです」
お互いに笑い
先輩に別れを告げて
時計を見ると講義は始まったばかり
Aに送った
『少し遅れる』という
メッセージは
まだ既読にはなっていなかった
目立たないように講義室の扉を開けて
Aの姿を探した
扉から少し離れたところから
こっちに気が付いて
小さく手をあげる翔と亜梨沙の姿を見つける
Aの姿はない
「Aは?」
「午後から出るって連絡あったんだけど、健人何
も聞いてない?」
亜梨沙が答える
「俺が送ったメッセージは既読になってない」
「もしかして具合悪いのかな?」
いつも頻繁に携帯をチェックしてる
Aにしては
亜梨沙にまで連絡がないのは少し変だな
どうしてこうもうまく行かないんだろ
今日きちんとを話して今日こそ元の2人に
そう思ってたのに
まるでAと俺の間を
阻む何かに邪魔されてるみたいだ
「大丈夫だよ。Aはお前に会えるの楽しみに
してたから。」
ほら。
そう言って翔は自分の携帯を俺に向ける
そこには朝更新されたAのインスタ
店で撮影したような写真の中のAは
さらに垢抜けたようにキラキラしてて
少し短くした前髪とか
透け感のある綺麗な色したカラー
肩で切りそろえられたサラサラの髪
俺の知らなかったAの魅力に
不覚にもドキッとした
『いつもありがとうございます。』
その文字と一緒に
美容室の名前やら担当スタイリストの名前が
タグ付けてある
翔の肩越しに携帯を覗き込んだ亜梨沙が
ふふッと笑いをこぼす
「そう言うことね。」
翔と亜梨沙は2人して何かに気が付いたように
笑い合う
1人だけ状況がわからない俺
「どう言うこと?」
「きっと健人のためだよ。健人会うのが、こ
んなお洒落したくなるくらい楽しみだったの。ほ
んと可愛いの。健人の事好きでいるA。」
俺のため?
会えていない間にすれ違ってたと思ってた
Aの気持ちが分からないって悩んでた
お互いに近すぎて見えなくなってたのかもしれない
「最近健人に会えなくて元気なかったの。昨
日健人に会えるって喜んでたから。多分急に思い
ついたんじゃない?」
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作者名:莉梨 | 作成日時:2018年7月5日 2時