目覚めの口付け ページ12
Aside
健人と同じ大学に入って
これから2人で過ごせるのが
楽しみで仕方なかったはずなのに
健人は学校が始まってから
ずっと不機嫌
それでも仕事柄
表向きの顔はとっても愛想が良くて
王子なんて呼ばれてるのに
大学に入ってから彼の態度がなんだか変わった
彼女であるはずの私には
いつも不機嫌で冷たい気がしてる
今日もいつも席なんてこだわらない
健人が私の言った席とは
違う席を選んだ
なんだか否定されたみたいで地味に傷つく
大学では、高校時代のわたしと健人の関係を
知らない人が多くて
彼のいないところで
健人くんに彼女がいたらショック
そういう言葉を何度も耳にした
彼はアイドル
どんどん人気が出ている彼の邪魔になりたくなくて
考えた結果
私が付き合ってる事を内緒にしたいって言ったら
やきもち焼きの健人は怒るかもって
自分から言い出しておいて
ほんのすこし期待しちゃったけど
案外あっさり
「わかった。」
そう言われて
やっぱり私との関係が公だと
色々面倒におもうのかな？
最近健人の気持ちがわからないよ。
亜梨沙に励まされて
「健人に見せるんだ！」
ってやってもらったメイクも
女の先輩たちに囲まれて
楽しそうに笑ってる健人を見た時
最近わたしにむける顔はいつも怒ってばっかりで
あの笑顔見てないな
そう思ったら
顔合わせる自信がなくなってしまった
そのまま亜梨沙と学校を後にして
家ではすこしは元に戻れるかな
なんて期待して
バックの中にある健人の家の合鍵が
まだ彼女である事を
唯一証明してくれてるみたいな気持ちになって
ぼーっとカギを握りしめたまま
健人の家でひとり帰りを待つことにした
家ではあの笑顔がみれるといいな
そう思うまま気がつけば眠ってしまったみたいで
体にかかる重さと彼の匂い
覚えのある彼の口付けの感覚で
目がさめる
そこにはやっぱり
不機嫌な健人がいた
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作者名：莉梨 | 作成日時：2018年7月5日 2時
