本音を言い合えば ページ27
Aside
目を覚ませば
目の前には会いたくて仕方なかった人
携帯を覗き込むその顔は
やっぱり不機嫌？
眉間にしわを寄せて
私が目覚めた事に
まだ気が付いていない
こんなにそばにいるのに
なんだか健人との距離が
すごく離れているような気がして
思わず健人の手を掴んだ
驚いた顔の健人と目が合う
「起きた？」
そういった健人が私に笑いかける
たったそれだけ
たったそれだけのことが
嬉しくて。
私こんなに健人の事が好きなんだ
切なくて
苦しくて
健人でいっぱい
何も言えないでいる私に
「まだ具合悪い？」
そう問いかける
うまく言葉が出てこない
私はふるふると首を横に振った
寝起きで少しぼーっとしてるけど
今朝の体のだるさはなくなっていた
「じゃあ答えてよ。」
私の頬にかかった髪を
健人の綺麗な指が優しく払う
触れた部分が熱を持ったみたいで
自分の胸の鼓動が内側から響く
伝えたいことは自分の言葉で伝えなきゃ
「Aは俺と会ってない間…何考えてた？」
開けられた窓から
少し蒸し暑い風が吹き抜けて
カーテンを揺らす
夏の匂いがした
見つめる健人の瞳
触れられた頬の温度
響く鼓動
この部屋に健人と2人きり
全ての感覚が
研ぎ澄まされる
「健人は…」
声にならない声が
どうかあなたに届きますように
「今でも私のこと好き？」
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作者名：莉梨 | 作成日時：2018年7月5日 2時
