ペットシッター (ページ6)

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表の顔ページ6

『ただいま～。

ん！！カレーやぁ！』

そう行って嬉しそうに彼走って来る彼の足音がする。

「おかえりなさい、もうすぐできるからお風呂でも入っててください。」

『はーい！』

そう言ってルンルンしながら洗面所に向かう彼を見つめる。

ふと彼はその目線に気がついてニコッと笑った。

でもちょっとして彼の笑顔が曇った。

彼は私の所へ来てまじまじと顔を見つめた。

『どしたん？ちょっと目腫れてるでぇ？』

「あ、ちょっと寝不足で…

でも、大丈夫です！だから早く入って来てください！」

『んふふ笑はーい』

そう言い放って彼は扉の中へ消えて行った。

最近父のコネで入った仕事は意外と忙しくて残業続きだった。

それでも彼に会うとそんなことが忘れられるくらい

疲れが吹っ飛んでしまう。

彼はまるで二重人格を思っているように見える。

テレビのあのふわふわした感じが表なら

今は表の顔。

あんなにひどいことをしてるとは思えないくらい

彼はいつでも優しい。

私が、疲れてる顔をしたらすぐに気づくし、

おまけに薬だってくれる。

最初の頃、カレーが好きだという彼に

どうしても作ったあげたくてカレーを初めて作った。

お嬢様育ちで初料理がそれだったため

見事に失敗してしまった。

そんなカレーにも彼はありがたみを忘れず

まずい顔１つせずに食べてくれた。

でも、それが屈辱で毎日料理教室に通うようになり

特にカレーには特別な授業を受けてとても上手くなった。

彼に美味しいものを食べて欲しい

その思いが今の私につながったと思うとやはり彼には感謝しかなかった。