ペットシッター (ページ38)

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休戦ページ38

「おまっ、どうしてん？」

そう言ってもやすは苦しそうにしてる。

「ちょっ、救急車呼ぶわ。」

『まっ、て…。

寝室、に…書類あるから、そこの、電話番号に、

電話…して。』

「え、わかった。」

俺はそうして寝室にむかう。

寝室には見たことのないくらいの大量の薬、

そして病院の書類があってそこに電話して

なるべくおおごとにならん用にしてもらって

なんとかヤスを運んでもらった。

話し合いどころじゃなかった。

目の前のヤスはただ眠ってるけど

こいつの背中には抱えきられへんくらいものを背負ってたんやって

実感させられた。

病院の先生には、詳しいことあんまきかせてもらわれへんくて

って言うのもヤスが口止めしてるみたいやった。

ただ、病気は完治してないことは強調して言われ

あまり無理はせないようにとしつこく言われた。

あの時、ヤスが死ぬかもしれへんって思った。

それは、俺が、Aちゃんと出会う前、

ヤスが髄膜腫なって手術することを教えられたときよりも

強く感じた。

ネットで調べても不安しか出てこえへんくて…

それでも、あいつはめっちゃ頑張って、

その1ヶ月後には舞台の誘いが来て

正直めっちゃ怖かったけどあいつがどうしても言うから

そっと見守ることにした。

それからの1年、俺はてっきりもう完治したと思ってた。

やのに

俺は、なんも…なんも知らんかった。