ノスタルジーな夜に2 (ページ1)

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それから二週間が経った。

アルバムのタイトル、表紙の絵、本格的に決まってきた。

俺は色々考えて日本でデビューすることにし、帰国の時間がいよいよ迫ってきていた。

そんな中、急にAとの連絡に違和感を感じていた。

連絡が取れないとかそう言うわけじゃないし、

ちゃんと俺の聞いたことに対して返してもしてくれてる。

もっと言うと自分から連絡してくる方が多い、やけど

例えば電話がかかる時間がお昼だけになってたり

例えば、話が盛り上がって直接話そうと言うと突然、予定があるとか言い出したり

ちょっとしたことが俺の心にいちいち引っ掛かった。

その後も何かにつけて会うのを避けられる日が続いて、

最終的に会えたのは1ヶ月くらい後、最終チェックの時やった。

それが終わるとたくさんの大人が動きだし、遂にレコーディングが始まる。

だから、修正ができるのは実質これが最後で、だから直接会議をしなければならなかった。

と同時に俺が帰国するまで1週間を過ぎこの日が会うのが最後になる予定やった。

部屋に入るとAはもういた。

でもその姿はこの季節に相応しくない格好やった。

もう夏やと言うのに長袖で大きなマスクをして帽子をかぶって

まるで芸能人のようやった。

俺が入ってくると挨拶だけして部屋を出て行った。

その後会議は通常運転で行われてAも何もなかったように会議に参加した。

会議が終わってAに車で俺の家まで送るように言った。

Aは嫌そうな顔をしたけど、荷物が多く、帰るタクシーのお金ないと嘘をつくと

仕方なく了承してくれた。

「なぁ…」

『あっ、あと日本帰るまで1週間？くらい、やんな？』

「うん」

『準備は？出来てるの？』

「うん、っていうか…」

『早かったよな、あの時…』

そう言って俺に発言権を与えないように質問ばかりしてくるAにイライラした。

「俺にも喋らせろや。」

そう言うとAは、

『…ごめん』

そう言った。

空気が悪くなり沈黙が続いた。

それでも俺は、なんとかこの機会を逃したら話せない気がして喋った。

やけど、その時にはもう俺の家の近くまで来ていた。