ノスタルジーな夜に… (ページ9)

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神様ページ9

「…」

『ん？おーい？』

「…」

『なんや、間違い電話か？』

電話の向こう側で1人で話す関西弁が離れてからまた24時間も経ってないのに

俺を帰りたくさせる。

『おーい、切るで？』

「…雛ぁ」

『…え、すばるか⁉着いたんか！…ってかどうしてんその情けない声』

「…盗られた、鞄。」

『はぁ？』

俺は泣きそうになりながら話す。

その向こうで聞こえるのは聞き慣れた笑い声。

『ははは爆笑っな！俺があげといてよかったやろ！

なにこれみたいな顔してたってやすが言うてたけど。

よかったな、他のメンバーやったらとっくに寝てる時間やで、

どうせ金髪美女の胸にやられて自分の荷物見てへんかったやろ。』

すごい、何もかもこの人にはお見通しやん。

「…ほんま、ありがとう、ございます。

ほんで、あの…」

『…わかってる、どうしよか、知り合い…

あー、おるわ！仲ええ奴が！お前そこ動くなよ。

来てもらうから。…あー、でもまぁ来てくれるかはわからんで。

まぁそん時は自分で何とか…！』

「…ほんまに、すみません、」

『おー、まぁそんかわりこのエピソードなんかで使わしてもらうからな。』

「どうぞどうぞ。」

『ほな、また。元気でな。』

そう言うて切られる。

ほんまこの人には構わんなと思い、公衆電話に律儀にお礼をする。

…さて、これから時間をどう潰すか。

って言うか来やんか持って言うてやん。

もしそうなったら…

お金もないし…そう思ってふとギターが目に入る。

…うん、これやなと俺は笑う。