センパイ！

甘い…後輩くん ページ21

「あの。A先輩いますか」


昼休み、見たことない女子3人が教室を訪ねてきた





人気(ひとけ)のない階段の踊り場



首もとの制服のリボンを見ると2年生だ



委員会でも、体育祭のリレーで一緒になった子でもない



はて、じゃあ？




「あの。るぅとくんと付き合ってるんですか」



…。


あ〜


そう言うこと




『いえ。ないです』


彼女たちは黄乃くんの取り巻きだ



「じゃあなんで最近あんなにベタベタしてるんですか！」


『ベタベタ？！』



「見たんです。ドーナツ食べたり、一緒に帰ったりしてる」



『いやあれはたまたま…』



「ミハルの方がよっぽど可愛いのに！！」


ミハルと呼ばれた子は私をグッと睨んでいる


「ミハルの方がるぅとくんに似合ってる！」





「ブスのくせに」



ブス…


そういって私の肩を押す


後ろの壁に思い切りカラダをぶつけた





『痛…なんの勘違いか知らないけど私は別に黄乃くんのこと好きじゃないので』


さすがにブスはパンチが効いたし、壁にぶつけられた肩が痛んでちょっと泣きそう




「は？じゃあなん、」


「なにやってるんですか」




黄乃くん！？



「いや、あの別に何も」


「聞いてたから全部」



3人はジリジリと後ろに下がる



「ずいぶん性格悪いんですね」


「いや、その」



「しかも暴力？最低だよ。もう2度とボクに話しかけんな」




こんな剣幕の黄乃くんは初めて…



「い、いこ」


青ざめた顔の彼女たちを少しかわいそうに思った



「先輩大丈夫ですか」


『うん、平気平気』



わたし、こういう雰囲気苦手。


そしてぶつけた肩がジンジンして…


だから涙がこぼれそう



『……』



「…先輩、、ごめん」



黄乃くんが私を抱きしめた



『…え』



「ごめんなさい。少しこのままでいさせてください…」


黄乃くん、甘い匂い

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