正体 ページ45
気まずそうな顔をしたAがその空気から逃れようと
走って何処かへ行ってしまった
払われた手を悲しそうな目で沢北は見つめる
「…一体今まで俺が何をしたって言うんだよ」
最早理由の分からないAの行動に沢北は憤りさえ覚える
確かに何もしてなくても気に喰わない人はいるのだろうけど
Aの場合その何は絶対に存在する
そしてその原因が
でもそれが何なのか全くわからない
「(…俺の天才的なバスケの才能？顔の良さ？声？？)」
足りない頭で一生懸命的外れことを考えながら集合場所に向かって歩く沢北の頭の上に、１つの仮説が浮かび始めた
＿＿＿＿＿＿綺麗なフォームに、スリーポイント
まるで経験したかのように話す作戦、観察眼
加賀海が言った「俺はお前の事を知っているよ」「俺はアイツが何か怪我でも抱えているんじゃないかって思ってる」という言葉
その全てがパチンと音を立ててハマったとき、
「…！！」
沢北はハッとした顔をして急いで加賀海の元へと駆け込んでいった
加賀海が前話してくれた事の中に「元々東京に住んでて、
「＿＿＿＿＿＿っ、加賀海、さん！！！！」
歩いていた加賀海を背中から体当した沢北は「痛ぇよ沢北…」と呻く加賀海を無視して喋り始めた
「アイツ…！！蒼月って昔バスケしてたんですか！？俺、さっき話しかけようとしたら断られたんですけど、その時の顔がすげぇ苦しそうで、どうすればいいのか＿＿＿」
「落ち着け、落ち着け沢北」
マシンガンのように勢いよく言葉を発する沢北を前に
珍しく加賀海は押されている
馬を落ち着かせるようにして沢北を落ち着かせた加賀海は言った
「＿＿＿＿＿＿あぁ、そうだよ。蒼月A…
お前と同じ、東京の中学でバスケをしていた、
その時はそこそこ名のしれた選手だった」
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作者名：三國 | 作成日時：2023年4月16日 8時
