THE FIRST SLAM DUNK 沢北編�� ページ49
一生懸命、誰かが何かをやっている姿を見るのは好きだとAは思う。だから、マネージャーも続けられているのだろうけれど。
少し経って、沢北が息を切らしながら最後の段を登り終えた。
『お疲れ様』と言ってAは沢北にタオルを渡す。沢北は「あざっす」と言ってそれを受け取った。
Aは神社の石段に腰を掛けていたので沢北もつられてそこに座った。チラリと横を見れば、整った顔で遠くを眺めているAの顔があった。
『ん…どうかした？』
「いえ！何も…」
ついつい見惚れてしまった事に気付いた沢北は少し赤く染まった顔を見られないように顔を隠す。
その時、不意にお米の匂いがした。
何だと思って顔を横に向けるとAが沢北に向かって綺麗な三角形のおむすびを差し出していた。
『こんな朝早くから…お腹すくでしょ。ほら、』
「わぁ…ありがとうございます」
手に取ったおむすびを一口食べればその程よい塩加減とお米の甘さに沢北は思わず笑みをこぼした。中の具は梅干しのようだ。
「やっぱりうまいですね、Aのおむすび」と笑顔で伝えると珍しくAも微笑んで『ありがとう』と返してくれた。
「そういえば、Aさんはさっき何をお祈りしてたんですか？」
ふと気になって聞いた沢北のその問いにAは少し間を開けて『…内緒』と答えた。
「なんでですか…ハッ、まさか俺には言えないような事を…」
『違う。願い事は普通人には言わないものでしょ？』
言われてみれば確かにそうだ。
『じゃあ逆に、沢北は参拝したとき何を願った？』
そう言われて沢北は初めてここを訪れたときの事を思い出す。あのとき、願ったことは…
『俺に足りないものがあるならば、それを俺にください。』
高校バスケでやれることはやり尽くした沢北の、心の底からの願いだった。アメリカを前に、自分に足りないものを教えてもらおうと思ったのだ。
「…秘密、です。」
『そっか』
そう呟いたAは立ち上がり背伸びをする。いつの間にか夜は明け、朝日が登り太陽の光が溢れかえっていた。
『戻ろっか』
「はい」
沢北はふと後ろを振り返る。俺に足りないものがあるとするならば、それは一体何なのだろう。
『沢北、早くしないと置いていくよ。』
「待ってくださいよ…！！」
Aを追いかけるように沢北が慌てて階段を降りていく。
沢北が足りないものを教えてもらうのは、それから少し先の未来の話
予告(追記あり)→←THE FIRST SLAM DUNK 沢北編��
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三國(プロフ) - ぼくらいさん» コメントありがとうございます！！楽しんで貰えてるなら幸いです✨これからも更新頑張りますね💪 (2023年1月10日 6時) (
レス) id: db3bdcc075 (このIDを非表示/違反報告)
ぼくらい - いつも楽しく読ませてもらっています❤️🔥 (2023年1月9日 20時) (レス) id: 9239ef16aa (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：三國 | 作成日時：2022年12月31日 9時
