THE FIRST SLAM DUNK 宮城編�� ページ35
大きな荷物を抱えたAは小走りで会場の中を駆けていく。その時、通りすがる人の体の一部と自分の荷物がぶつかった。
「いてっ…」と声が聞こえたためAは慌てて後ろを振り向いて謝罪の言葉を言おうと口を開きかけた。
口から出てきたのは、謝罪の言葉ではなかった。Aは自分の目の前にいる人の顔をみて唖然とする。思わずいいそうになる言葉をグッと飲み込み、その人の名前を呼ぼうとするが上手く声が出ない。
「…お前…A…、Aか…？？」
『…リョータ…』
自分の口から微かに震えていて、掠れたような声がでた。
Aが昔から好きだった、宮城ソータの弟…宮城リョータがそこに立っていたのだ。パーマとツーブロックに、耳にはピアス、体格も男らしくなっていて、身長は自分をすでに越しているぐらいだろうか…そんなリョータに再会してしまった。
『…なんで、ここに…？？』
まだその状況を呑み込めないAがリョータに言う。
リョータは不思議そうな顔をして言った。
「今日対戦する相手…湘北高校に俺がいるからだけど？」
どんな運命だ、とAは思った。よりによって引っ越した先にリョータがいたとは。
リョータは再会できたのがよっぽど嬉しいのか笑顔でAに話しかける。その時「リョーちん！ゴリが早く来いって言ってんぞー！」と元気な声が聞こえてきた。
リョータはハッとしてそれに返事をする。
「…今日の俺、よく見てて。昔よりも遥かに上手くなってっからな。」
去り際に自分にそう伝えてきたリョータ。Aが口を開く前にリョータは奥の方へと走っていった。
Aは自分も行かないと、と思い足を進める。正直言えば、今すぐにでもここから帰りたかった。
宮城ソータはこの世にはいないとわかっているのに、どこかリョータをソータと重ねてしまう自分がいることに
Aが気づかないわけがなかった。
リョータは昔と変わらずPGらしい。それは牧と同じポジションだ。身長差…ミスマッチだな…と思いながらAは試合を追っていく。
チビながら素早くコートを駆け抜けていく姿はいつの日か見たソータのようだ。
まただ、とAはハッとした。無意識にリョータをソータとして見ている自分に思わず顔を歪ませる。
だから会いたくなかったんだと心の中で呟いた。
私は最低だ。
手の中にあるボールペンはいつの間にかキツく、握りしめられていた。
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三國(プロフ) - ぼくらいさん» コメントありがとうございます！！楽しんで貰えてるなら幸いです✨これからも更新頑張りますね💪 (2023年1月10日 6時) (
レス) id: db3bdcc075 (このIDを非表示/違反報告)
ぼくらい - いつも楽しく読ませてもらっています❤️🔥 (2023年1月9日 20時) (レス) id: 9239ef16aa (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：三國 | 作成日時：2022年12月31日 9時
