6輪 ページ7
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ソアちゃんに車への積み込みを頼んで、ホシさんと約束した花束を仕上げていると
後ろから声をかけられた
「……あの、ホシのやつってできてます?」
振り返ると声の主が思ったより距離が近くてびっくりした
『ジョンハンさん………近いです……』
JH「え?……名前知ってたんですか」
『ソアちゃんに……バイトの子がcaratで。教えてもらいました』
JH「あ〜なるほどね。そう、ユン・ジョンハンです。ステージ観てましたよね?」
『はい。観ました!凄く凄く感動しました。私もcaratになりました!』
JH「やっぱりあれ、Aさんだったんだ」
天使にサラッと名前を呼ばれて少し心がザワついた
あの人の面影を感じるからだろうか
『ジョンハンさん、とても目がいいんですね』
そう言うと、お腹を抱えて笑われた
JH「そんな風に言われたの初めてなんだけど?
ねぇ…連絡先教えてよ」
いつの間にかタメ口になってた天使…ハニさんは私にスマホを差し出してきた
推しに連絡先………?
『えっと……これどうぞ。私基本ここにいるので』
そう言ってエプロンに入れていたお店のカードを押し付けた
天使が呆気に取られてる間にまくし立てるように続けた
『ホシさんに頼まれていた花束これです。アスチルベとオンシジュームとクフェアで作りました。
自由きままと私と踊ってって意味があるお花です。
他にも花言葉の意味はありますが……
きっとホシさんの希望に合ってるかと思います。そうお伝えください!では!』
JH「え、ちょっと待て_____ 」
そう言いながら私は一目散に車へと走った
彼の言葉は聞こえなかったフリをして
お店に来ることはないだろう
きっとこんな風に個人的に話すことも。
推しとペンとしてだけ彼と関わりたい
面倒事も要らない
連絡先なんて教えたら困る
もうこれで会うこともないだろう
これでいい。
胸が少し苦しいのはきっと走ったから
それだけ。うん。
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作者名:なお | 作成日時:2023年10月31日 0時