13輪 ページ14
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気がつけば彼が亡くなって1年経っていた
久しぶりに会った彼のご両親に
「Aちゃんあの子のことはもう忘れなさい。まだ若いんだから。引きずったらダメ。幸せになるのよ。もう二度とここにも来ちゃダメ」
彼のお墓の前でそう言われた
私は泣きながら彼の両親に縋った
ここ以外彼に会えないのに、私から彼を奪わないでと
今考えれば、私を本当の娘のように思ってくださってたからこそ、心配してそう言ってくれたに違いないのに
あの頃の私は、自分が悲しむことで精一杯だった
家に帰っても何日も泣いて泣いて泣き続けた
そんなある日
ふと目にうつったのはご両親から預かった紙袋
中を見ると、手紙と封筒にそして綺麗に包装された箱
手紙は彼の手書きで、結婚式で読むはずだった私へのラブレターだった
"Aへ
手書きの手紙なんて、初めてで少し照れくさいけど
それでも一生に一度だけの結婚式だから、最後まで頑張るよ。
僕と出会ってくれて、結婚してくれて本当にありがとう。
名前に出会えて、これから一生一緒に笑って生きていける。こんな幸せはないよ。
Aが両親と弟くんを亡くしてから、1人でずっと頑張って来たこと本当に偉いと思う
でももう1人で頑張らなくていいよ
僕がずっといるから。Aは隣でただ笑っていてくれればいい
僕が一生をかけて幸せにするから
これからよろしくねA��
嘘つき………いないじゃない。
またひとりぼっちだよ
封筒にはポストイットが貼ってありご両親からだった
Aちゃん、これはあなたが再出発に使ってください。あの子のためにもね。どうか幸せに。
中身はお金だった
そして残ったプレゼント
包み紙をとって、小さな箱を開けると
小さな箱には青い宝石が付いた小さなピアスとシルバーのネックレスだった
シルバーのハートのネックレスには裏にメッセージが彫られていた
"Je veux passer ma vie avec toi"(あなたと一緒に人生を過ごしたい)
握りしめてまた泣いて泣いて、涙が枯れることなんてなかった
空っぽになっていた私だったけれど、彼が愛してくれた事実がそこにあって
結局、私は後を追えなかった
あのネックレスもピアスも今も私の耳と胸元に輝いてる
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作者名：なお | 作成日時：2023年10月31日 0時
