379話 ページ50
*朱音side*
長い夢を見ていたようだった。まあ実際、眠ってる期間は長いんだろうけど。悪くはない夢だったと思う。思い出せないけどね。
「…ん?」
目覚めは意外と快調だった。本当に普通に夜寝て起きた時の感覚だった。ちょっと意外と思ったけど誰もがこういうわけではないだろう。
「…!」
小さく息を飲む声。その人物は…
「…九条…麗子…?」
「…はい。そうです」
私を殺そうとした張本人だった。だけど何となく目付きとか雰囲気が違う。いや、何となくとか気のせいとかじゃなくて間違いなく違う。
「一体何の用…「申し訳ありませんでした」
やっぱり。声も今までとは違う。上手く言葉には出来ないけど…
「謝っても許されることではありません。相応の罰は受けます」
直感で「あ、これAのおかげだな」って思った。跡部がやるなら徹底的にやってとっくに絶望でもしているはずだ。しかも…何となくだけどAに似ている。多分、本来は目立たない感じだったのを矯正されたんだろうな、と化粧していなくて庶民の服を着ている姿を見て思った。
「罰ね…うーん、どうしようか」
生まれてくるところの差で人ってここまで変わるんだなと思った。化粧をしていない九条は本当にAみたいで絶世の美女とは言えない…言うなれば少し化粧すれば大きく変わるダイヤモンドの原石だ。環境が同じであれば性格も似ていただろう。流石に見た目は双子とはいかないけど。
「とりあえず示談交渉だね。多分Aもしてるだろうから一緒にやって…」
「人を殺そうとした私をどうしてそれだけに…」
「どう見ても反省しているから。後、本当の自分になれたから。今までやってきたことはもう1人の人格ってことで…的な?」
「そんなことで私の罪は許されないです」
「どうしてそんなに罰を求めるかねえ……どうせAに同じこと言ったんでしょ?完全には納得していないようだし」
「はい」
「だよねえ…どうせ私情だろうし」
正直、許すことができる客観的で納得できる理由なんてない。どうせ私もAと似てるからという理由含めても結局は全て許したいという私情だ。
「…よし。とびきりの罰を与えますか!」
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続編出ました!
好きと嫌いは紙一重なのか?9【跡部景吾】
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作者名:葉月 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/3f2cc79ad91/
作成日時:2019年3月10日 23時