377話 ページ48
「お待たせしました」
Aが戻ってきた。時間からしても顔からしても明らかにAは走っている。体力的にもかなり辛いはずだが平気そうな顔をしている。
「おっ、もう帰ってきたか。早くないか?大丈夫か?というか何があった?」
「体調は問題ありません。それに症状も既に軽いですし。はい、跡部君」
そう言って渡してきたのはビニール袋。開けると様々な種類のパンが入っていた。
「お口に合うか分からなかったので適当に選んできました」
「何故これを…」
「それ食べて早く薬飲んでください。薬ありますか?手元にロキソプロフェンナトリウム水和物ならありますけど…医者でも薬剤師でもないので気軽には渡しにくいですが仕方ないです」
「ロキソ……なんじゃそりゃ?」
まさか…腕の痛みに気づいていたのか?しかもわざわざ省略せず主成分で。宍戸に分かりにくくするためだろうな。…気が利くな。
「いや、ある。気にするな」
「…Du solltest dich vom Arzt untersuchen lassen.(…医者に診てもらった方がいいですよ)」
「Ich weiß.(分かっている)」
「……???…もう何て言ったかすら分かんねえ。っていうか何語だよ…」
宍戸はドイツ語が分からないから敢えてドイツ語で言ったのだろう。にしても…まさかドイツ語が話せるとはな…
「Μπορώ επίσης να μιλήσω ελληνικά.(ギリシャ語も話せますよ)」
…なるほどな。俺様への対抗意識ってところか。やるじゃねーの。
「... αλλά όχι τόσο καλό(…そこまで上手じゃないですけど)」
「Αρκετά.(十分だ)」
「…マジで何言ってるか分からねえ…何だよこの頭いい2人…っていうか普通に喋ろよ…」
そう言って頭を抱える宍戸だった。
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作者名:葉月 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/3f2cc79ad91/
作成日時:2019年3月10日 23時